せっかくのサンジの誘いです。
目の前にある皿に実に美味そうに盛り付けられた肉の匂いが
ルフィの鼻腔をさっきから刺激しっぱなしですが、
「悪ぃサンジ。オレやることがあるから食ってられねえんだ」
自分の中にあるガマンと呼べるものを総動員して、ルフィは席を立ちました。
だってそんな暇はありません。
ものすごく後ろ髪を引かれますが、ゾロに会いたいという欲求が
食欲を上回ったのです。珍しいことに(苦笑)。
「そうか、気をつけろよ」
何となく察したサンジも無理に引きとめはしません。
「ありがとな、サンジ」
優しいコックににっこりと微笑んで、ルフィは背を向けました。
もちろん皿の上の肉をつかんで、ぱっくんと一口で飲み込むことを忘れずに。
「てめぇぇぇ、クソゴムっっ!!!!」
反行儀キックコース!!
怒号と共に、サンジの蹴りがルフィに炸裂しました。
「お客様・・・!」
すぐさま主人らしい男が飛んできます。
そして、2人は丁寧だけど有無を言わせぬ口調の店主に
店の外へと追いやられたのでした。
* * * * *
「・・・ったくどうしようもねえな、このクソ船長は」
煙草に火をつけながらサンジががっくりと呟きます。
「ごめん」
ルフィもさすがに悪かったと頭を下げながら、
その一方で、でもあの肉すげぇ美味かったな〜と思ったりしてるのでした。
心なしかサンジの吐き出す紫煙までもがぷかぷかと2人を呆れるように漂っています。
「で、これからどうすんだルフィ。オレも付き合おうか?」
とりあえず町を歩こうと思っていたルフィに、サンジが尋ねてきました。
さあルフィ、どうする?
そっか。うん、一緒に行こうぜサンジ
ゴメン。悪いけど、オレ一人で行くよ