島に停泊中のメリー号にゆっくりと夜の帳がおりていきます。
口々におやすみの挨拶を交わしながら皆はそれぞれの部屋に下がります。
「ゾロ」
今夜の見張りを兼ねて、酒瓶を手にゾロが一人甲板で夜風に吹かれていると
そこにひょっこりルフィが顔を出しました。
「ん、どうしたルフィ?」
ゾロがそう尋ねるのも最もで、いつもならルフィは眠っている時間です。
へへっと悪戯っぽく笑いながらルフィはゾロの隣に腰を下ろしました。
「ゾロと一緒にいてやろうかなって思ってさ」
「何だよ、急に寂しくなったのか?」
下にいりゃウソップもチョッパーもいるだろうによ。
そう言ってゾロはつんとルフィの額をつつきます。
多分ルフィの答えは分かってるでしょうに、わざとそんな言い方をします。
それが分かるからルフィはつんと顔をそらして答えません。
そんな仕草に苦笑して、ゾロも同じく黙ったまま、また酒を煽りだします。
夜更けの甲板に並んで腰を下ろしたまま、何も会話を交わすことなく
ただ静かな時だけが流れていきます。
頭上には満天の星が、
目の前には、まだ眠らない町の明かりが、
どちらもきらきらと闇に瞬いていました。
綺麗だな、とそんな穏やかな心で見ることができるのは
きっとゾロと2人でいるからだろうと、ルフィはぼんやりと思いました。
と。
ぐぅぅぅぅ〜〜〜〜
静寂を破って鳴り響いたのはルフィの腹の虫。
せっかくのムードもぶち壊し。げっと慌てるルフィの隣でくっくとゾロが笑っています。
「だってしょうがねえじゃん、腹減ったんだから!」
恥ずかしさの裏返しに、ルフィは開き直ってみせるしかありません。
そんなルフィをすっと抱き寄せ
「コックがまだキッチンにいる。何か食ってくればいい」
ゾロが耳元で囁きます。それは結構魅力的な話なのですが
「ゾロ、ホントにそう思ってるか?」
「いや、全然」
「ちぇ、素直じゃねえの」
やっぱり今の時間をこうしていたい2人です。
とはいえ、確かにお腹が空きました。
ルフィはポケットに手を入れ、何か腹の足しになるものはないかと探します。
「あった」
昼間チョッパーに貰ったあめを一個見つけました。
早速紙を剥いて口に放り込むと、ふわりとオレンジの香りが広がります。
ところがゾロは目聡くそれに気付いたようで、
「なに一人で食ってんだ、オレにも寄こせ」
本当は甘いものなんてあまり好きじゃないくせに絡んできます。
「もうねえよーだ」
意地悪を吹っかけてくるゾロにべぇっと舌を出せば
「だからいいんじゃねえか」
口の端でにやりと笑ってゾロがルフィの出した舌をぺろりと舐めました。
「うわわわわわわわ!!!!」
「やっぱ甘ぇな」
焦るルフィを尻目にゾロは今の味を自分の口内でしっかり確認しているようです。
「いきなりこんなことすんな!」
そう強がったものの、ルフィの顔はきっと真っ赤なことでしょう。
照れ隠しにごしごしと口元を擦れば、またゾロがふっと顔を近づけてきました。
「いきなりじゃなきゃいいのか」
「・・・・・・」
この状況で何て返事しろと?
「もう一度食わせろ、ルフィ」
「・・・もうない。びっくりさせるから飲んじまった」
「あめじゃなくて良い」
「・・・・・・」
ゆっくりと手が伸びて、その指先が優しく頬に触れてきました。
その心地よさにルフィもあっさり陥落です。
「・・・目、閉じた方がいいのか?」
「お好きに、船長」
夜はまだまだこれから・・・***
ENDv
あめのように甘〜いラブラブエンドでしたvv
でもここだけの話、まだまだ先に進んじゃうエンディングがあるらしいですよ。
更なる甘〜い2人を目指して頑張ってください。
なお、このエンディングは扉絵を描いてくださったpiiiiko様に謹んで捧げます。
ご迷惑でしょうが、できましたら返品不可の方向で・・・(汗)。