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625話 「受け継がない意志」


扉絵は待ってました(笑)のゼフ。
なーんていうかさぁ、クソジジイのこの嬉しそうな顔だけでおなかいっぱいですよ。
ここは余計な言葉なんて要りませんよね、ただ一言。
ごちそうさまv
バラティエは改装中なんですね。しばらくぶりにサンジが帰った時、一体どんな風になっているやら、 そんなのを思うのもまた楽しいです。
ん、本店て書いてあるけど、じゃあ支店もあるの?
パティあたりがのれん分け?
…て書いたとこで気付いたんだけど、バラティエ支店てサンジのことだったりしてv


本編。
まずね、タイトルがちょっとばかりショッキングでした。
今までさんざん、受け継がれる意志だの人の夢は終わらないだのときかされてきていたのに、この言葉。
しかも受け継がれない、じゃなくて、受け継がない、ですからね。
はっきりと意志を持って、その意志を受け継いでいかないようにするという…。
展開的にそれが何のことか予想できるのがまた切ないです。


さて、魚人島に流れ着いた漂流船。
海底の生物に襲われたようです、クラーケンあたり?
そしてそこに乗っていたのが天竜人。
あああああ、この不吉なキーワード。どうしても想像が嫌なほうにしかいかない。
大怪我で倒れているミョスガルド聖…、チャルロス聖のインパクトには敵いませんが、なかなかどうして 彼も立派な天竜人でした。ふっ。


魚類共、魚人くさくてかなわん(おえぇっ)、
わちきの命を助けろバカ共め、
わちきが死んでしまうえ
こんなしょーもないセリフを抜き出して馬鹿か、私は。
でも彼の人柄を表すには一番適切だと思いますんで、書いておきましょう。
魚人の奴隷たちが島に戻ったと聞いて、自分の奴隷を取り戻すために はるばるやってきたわけです、この馬鹿め。
とりあえず助けようと思う者も、殺すべきだと思う者も、 一人暴言吐きまくって銃をぶっ放してる有様にただ遠巻きに見守るのみ。
そこに元・彼の奴隷だった魚人たちが取り囲み、銃を構えます。
天竜人を殺せば大罪ですが、ここは海底。海軍の力も届きません。
皆が黙っていればただの『海難事故』なんです。
それを聞いて見守ってた島民も皆、殺せ、苦しめて殺せの大合唱。
すごくわかります、私だって「大人として」そこにいたら(ここポイント)、 絶対合唱に加わっています。ある意味怖いことですけどね。
「許そうにも…お前だけはゆるすことができない…!」
この言葉と、銃を構える顔が嬉しそうではなくとても苦しそうなのが、 救いかもしれません。
誰だって人殺しなんてしたくないです、魚人の人たちは 基本的に優しいみたいだし。
だけどそれでも殺したいほど憎い…奴隷だって過去はそれほどに重いわけで。


発砲される銃。
けれど、それは天竜人をかばったオトヒメ王妃の腕を傷つけたのでした。
「みなさん、銃を捨ててください! 子供達が見てます…!!!」


ホントにこの魚人島編から涙腺のツボがわからないんですが、ここで 泣けてしまいました。
揺ぎ無い王妃の心の強さに。
そしてそれは魚人島の未来とそれを支える子供達のために あったんだなと改めて思い知って。
何故かばうのだと問われて王妃は答えます。
皆の心の叫びを理解しながらも
「その人間達への怒りを…!憎しみを…!子供達に植えつけないで!!
彼らはこれから出会い…!考えるのですから!!」


大人として、親として、これはすごくよくわかるのです。
子供ってのは何も知らず生まれてきます。
成長しながらその中で、いろいろな情報を取り入れ、 年齢に応じて頭で考え、そして自分の個を確立していくのです。
うちの娘らはもう中・高・大学生なんですが、最近つくづく思うのが、 親の影響力です。
彼女らの中にある、特に価値観かな、そういうものに自分のそれが 大きく根ざしてるようで怖くなります。
私自身は嫌な子供だったので、そして恥ずかしながら父は悪気なく差別的な発言をしちゃう 人だったので(女のくせにとかね)、 それがすごく嫌いでかなり反発してきました。
でもそれだって親の影響ってことで、要するに そのままだろうが逆だろうが、子供は親(大人)を見て育つのです。
人を殺すのがいけないのは誰だって知っています。
じゃあ死刑ってのはどうなんだ。いいのか、悪いのか。
子供によく聞かれました。
もちろん私には自分の答えがあります。 でもそれを子供には絶対伝えません。
だって母の私が言ったらそれが正解になっちゃうじゃないですか。
だからこういう意見がある、と世の中のいろんな情報は与えるけど、 結論は自分で出してもらっています。(娘らがどう考えてるか今度聞いてみよう)


余計な話で長くなりました。
要するに子供達に大人の意志を受け継がせるのではなく、 自分の目や耳、そして頭で判断させろと。(実際の問題にも置き換えられるような気がします…何とは言わないけど)
今思い出したけど、ジンベエがインペルダウンでエースからルフィを頼むと言われたときに、「あんたの言葉でもわしは自分の目で見て判断する」 みたいに言ってましたね。
これもそういうことなのかな。


末娘に言われたんですが、
「クラスのみんなになんでそんなにワンピースのこと知っとんねんて言われるんだけど、 あたしって生まれたときからうちにジャンプがあって、すっごい小さいとき(1歳です)から映画も行ってるんだよね」
14歳、連載開始とほぼ同じくらいに生まれた子供達。
そりゃ家族の誰かが好きじゃなけりゃそんなに読んでないですよね。
母の影響力の大きさ、ここに極まれり。ふっ。(オチをつけてどうする)


いい加減、話を戻せって。
王妃の言葉に、ジンベエはタイガーの最期を思い出します。
『島には何も伝えるな!』
それはまさしくタイガーの残した思いと同じでした。
彼ほど人間を憎み怒りを抱いていた人はいない、けれど同時に、 タイガーはそれを他の者(特に子供達)が決して受け継がないよう強く願っていたのです。

それなのに。
アーロンはあれだけタイガーを慕いながら、彼の真意とは逆に、虐げられた怒りのままに人間への復讐に走った。
そして何も知らなかったはずのホーディは、そんなアーロンの意志を継いだと自負して今に至る。
知らせなかったことがこうも裏目に出るとは。
アーロンが、ホーディが、憧れる英雄タイガー・フィッシャーの真の意志は一体どこに受け継がれたのか。
なんか悔しい。
彼ら自身が差別を受け虐げられてこういう行動に走ったのなら仕方ないです。
でも、特にホーディ。
違う情報が伝わったとはいえ、あたかもそれが正当であるかのようにタイガーやアーロンの名を出して、 魚人島の歴史を変えると、自分が英雄気取りなのがどうにも許せない。


まぁ人間の側の過ちも大きすぎると、馬鹿天竜人を見ると思い知らされるんですが。
意識を取り戻した天竜人は、やけになったか、オトヒメ王妃に銃を突きつけます。
その光景を兄たちと共に見ていたしらほし(6歳)が母の危機に大泣き。
その叫びに海は大揺れ。
巨大海王類の群れがやってきたのです。ひぃぃ。


それを目にしたバンダー・デッケンは、大喜び。
初代デッケンが追い求め海の底までやってきた、伝説の「海王類をも従わせる人魚姫」。
それこそがしらほしの持つ能力なのだと気付いたのです。
なるほどー、それでストーカーが始まったのか。
でも、まず姫の夫にならなければ、って理由がよくわかりません。
その能力を持つ血を自分の一族に入れたいということなのかな。
とにかく今まで散々ののしられてきたように、彼の性癖によるものではなかったんですね、 誤解が晴れてよかったなデッケン。(笑)
一応ガキんちょってことで躊躇ってたんで、ホッとしたよ、うん。


海王類を見て倒れた天竜人は、船医だったアラディンが治療しました。
元奴隷だった彼。天竜人を見る表情は複雑ですが、憎しみを越えて自ら治療を申し出たのです。
彼はタイガーの真意をちゃんと理解していましたから。
医師というスキルや元奴隷という過去。
アラディンが今どう過ごしているのか気になります。コアラと共に再登場熱烈希望。


数週間後、傷を治して地上行きの船に乗る天竜人。
覚えてろよ、と命を助けてもらいながらのこの言葉。馬鹿さ加減はとどまる所を知りません。
こういう人間がいるのがホントに情けない。
帰った後、絶対逆恨みの報復に来るつもりです。
不安げな島民たち。
そこへ
「お待ちください、まだお話があるようですね、ならば私が地上まで同行します」
王妃が名乗り出ました。
魚人&人魚を魚としか見てない相手と共に地上へなんてあまりに無謀です。
読んでるこちらは王妃のやがての運命を知っています。
ついにそのときが来たのかと心配で不安で悲しくてたまりません。
王は驚き、自分が行くと言うのですが
「強いあなたでは意味がない、人一倍体の弱い私が行って帰ってこられる世界でなければ地上の安全を証明することなどできません」
地上への移住を説いていた王妃です。ある意味今が最大のチャンスなのかもしれません。
確かにそうなんですが…。


ネプチューン王が王妃との件で自分の意志をはっきり述べたのは、これが初めてのように思います。
前回の感想で、一人の夫としてどうなんだ?とか偉そうに書いてますが、やはり立場上あまりおおっぴらに自分の意見を言うことは控えていたのかもしれません。
だって王が言ったら、それが「正解」になってしまいますものね。
だけどさすがにここで黙ってはいられませんでした。
カッコいいぞ、王様。(好き勝手言い放題)


「信じて。あなたの選んだ妻と人間を」
本当に強い人ですね。
心から皆の未来のために生きている。


王妃が戻るまで、待つ身にとって不安に押しつぶされそうな長い時間でした。
誰もが涙に濡れ、苦しみ、でも王妃を信じながら待ち続けます(ここでじっと待つしらほしのいじらしさがまた泣ける)。
そして一週間後、オトヒメ王妃が帰ってきました。
ナレーションによれば、横暴な天竜人をなだめ、さらに一枚の紙、魚人島の「希望」とも言える物を持ち帰ってきた、とのこと。


皆が彼女の無事を喜び、涙で迎えます。
人間との共存の件ではそっぽを向いたものの、王妃自身を嫌ったわけではありません。
彼女のまっすぐな気持ち、その優しさはちゃんと住民たちから愛されていたんですね。
ああよかった。
先週があまりに可哀相だったので、このシーンはホントに嬉しかった。
説得の通じた喜びか、オトヒメ王妃は清々しい笑顔で手を振ります。
胸に抱えている一枚の紙。
「歴史が動く」
とアオリにあったんですが、地上から受け取ってきた政府公認の移住の許可証みたいなもんでしょうか。
あー自分で書いててもうそ臭い。
これが更なる悲劇を呼ぶんだな…と薄々感じられてしまうのが哀しいです。
だいたい天竜人が絡んでる時点でもうアウトだよね…。




拍手ありがとうございました!
5月17、18、19、22、23、26日の各日いただきました。
毎度おなじみな拙い感想で申し訳ないのですが、いただく拍手が毎週大変励みになっております。
今は展開的に感想書こうと読み直すのが大変辛いです。
それでもオトヒメ王妃やタイガーが未来を信じたように、魚人島にやってきた新しい波(=ルフィたちねv)の 力を信じて先を楽しみに待ちたいと思います。



◆23日0時の方。
いつもありがとうございます。
ますますもって重苦しい展開で胸が痛いです。


『海軍、というか世界政府は人間と魚人が仲良くなるのを望んでないんじゃないでしょうか。
 (多分)魚人達が迫害され続けている歴史を知らない人達のほうが多いこととかを考えると、余計にそう思えてなりません。』

はい、今までの中で感じる限り、絶対望んでいませんよね。
前に書いたことがあるんですが、人間て自分より「下」の存在があると安心するものなのです。
オレも大概だが、あいつに比べたらまだマシだ… てな感じですね。
天竜人に見下されてる一般人たちの怒りや反抗心を、さらに下の存在を置くことで緩和してるんですよ、多分。
だから世界政府にとって(海軍てよりは政府かな)、人心を管理するのに奴隷として扱っても構わない魚人の存在はある意味貴重なのではないかと思います。


『けれど動くには時期が悪かった。変革を阻むものはあまりにも強すぎ、かえって望まぬ悲劇を呼んでしまった。
 2人の志半ばの死、アーロンやホーディの様な彼らの心を解しない者達による悲劇の拡大。
 でも、それらに終止符をうち、何らかの形で救済を齎すのがルフィでしょう。
 あまりにも問題が深刻過ぎて、どういう形で救われることになるのか、見当つきませんけど』

長い引用すみません。
真剣に、そして純粋に魚人島の行く末を案じていた王妃とタイガー、2人が共に悲しい死を迎えたことが今はただやりきれなく思えます。
自分の辛さを押し殺しても、魚人島の皆のためにあんなに一生懸命だったのに、それがアーロンやホーディ、 直接ではないのかもしれないけど(直接だったら蹴飛ばしてやる)デッケンたちによって、違う色に染められようとしてるのがすごく悔しい。
だいたいオトヒメ王妃の踏み絵ってなにさ。
彼女とタイガーに根ざす思いは同じだったことにも気がつかないホーディたちの若さというか愚かさに、歯噛みするばかりです。
でもまだ根が深そうですよね。
ホーディたちですら前座なのかもしれませんよ…あああ。



211/05/26




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