short novel


接続詞バトン

バトンの回答を短文形式で

■次の接続詞に続けて文章を完成させてください。みな独立した文章です。



1.「しかし」
困ったことになったもんだ。
目の前には敵の山。どうポジティブな方向に持っていこうとしても困難極まるこの状況に、ひぃーと叫びだしたくなるのをおれは必死に我慢した。
村の中で安穏に生きる道を捨て、歩くトラブル発生器みたいなこの船長の傍で勇敢な海の男を目指すと決めたのは自分なのだから仕方ない。
それにしても、なんだってこうもわくわくした顔でいられるかね、こいつは。
そんなおれのため息が届くはずもないのは今までの旅で知り尽くしている。
あーはいはい、わかりましたよ。
どこまでもついて行くから、おれの命はちゃんと守ってくれよ、ルフィ?



2.「やがて」
海賊王になるだろう、けれど今はまだとても若くて小さな彼を見ているのは楽しい。
その胸に抱いた真っ白な帆を、あなたはどんな色に染めながら進んでいくのかしら。
私の命や夢を掬い上げてくれたその腕は、さらにいろんなものを取り込んで、前に前にと伸ばされていく。
肉やパンを掻きこむように、ガツガツとあなたは貪欲に夢を求めて先へ進む。
広げた腕がいつかあなたの大きな夢を掴み取るその瞬間まで、どうか私をあなたの傍にいさせて。
それが私の秘めたる願い。



3.「ただ」
仲間になれよとあいつが手を差し出してきたからその手を取った。それだけだ。
理由も意味もねェ。あいつがそこにいたからだ。
それを一目惚れって言うのよと女共が声高らかに笑うのを無視し、船首に立つルフィの背を見つめる。
ただおれはルフィと共に生きていきたいだけだ。
あいつが夢を追うその隣で、おれも野望を追い続ける。
そしていつか海賊王と大剣豪として誰も届かねェ場所で並び立つんだ。
それは険しい道のりのはずなのに、考えただけで心の奥が甘く疼くのは何故だろう。
惚気てるわと笑う奴らを一睨みし、おれはまたルフィの姿をじっと見つめる。



4.「だって」
しょうがねェだろ、おれの顔を見ればメシメシと纏わりついてくるんだから。
おれが侍らせているわけじゃない、寄ってくるのはあっちの方だ。
何度も自分にそう言い聞かせているのに、知らないうちに「嬉しそうな顔」とやらになっているとからかわれる日々はいまだに健在だ。
容赦ない「腹減った」攻撃に蹴りで応戦しつつも、アイツが幸せそうに食ってる姿を眺めるのは案外おれの好きな時間だったりするから、 どうしようもないのかねェ。
それにしても今、手にしてるこの大量のメシは何だってんだ。
あー…ちょっと分量を間違えて作りすぎてしまっただけかな。
そうだな。断じて、決して、絶対に、アイツに食わせたいとかそういうんじゃない…はずだ。



5.「そして」
気がつけば、おれは捨てたはずの夢ごと不思議なゴム人間に掻っ攫われて賑やかな旅をしている。
乗ってからわかったのは、この船に乗ってる連中の誰も彼もが船長に首ったけってことだ。
いやこれはもうベタ惚れってレベルだな。
こんなただのガキに屈強な剣士や賢い姉ちゃんやトナカイまでもが魂奪われてるとはどういうこったと思いながら、 傍観者を決め込もうと思っていたのに、参ったね。
あんまりあいつが眩しいからそっぽを向いてたら、どうやらそのまま一回転しちまったらしい。
おれはまっすぐに船長の方向を見ていた。



6.「水たまりは」
まっすぐに空を映す。きらきらきらきら、太陽の光いっぱいに含んで輝いている。
そぅっと手を伸ばしたら、太陽ごと掬えるのかな。
太陽が欲しくって手を伸ばしてみたけれど、でも蹄のおれの手では上手く掬えない。
水面が揺れるばかりで失敗だ。
あーあと肩を落としたら、その肩をぽんと叩かれた。
何やってんだチョッパー?とルフィが笑う。おれの大好きな笑顔。
太陽は掴めなかったけど、その代わりにおれはぎゅぅぅぅっとルフィに抱きついた。



7.「あの子って」
いつもいつも無茶ばっかりして目が離せないからイヤになっちゃう、そう愚痴ったつもりだったのに、ロビンがとても楽しそうに笑った。 あなたは本当に彼が好きなのねって。
違うわよ、と軽く膨れてみせる。
頭の中にはご飯のことしかなくて、後先考えずに突っ走って、どんな忠告もどこ吹く風で、聞き分けが悪くて、とにかく子供で、
それからそれから…………いつもきらきらと輝いていて。
これは恋とか愛なんかじゃない。でも大好き。
ずっと傍にいたいって思うこの気持ちはどう表現したらいいんだろう。
これじゃゾロのこと笑えないな。



8.「今日の私は」
とても幸せなのです。
私仲間になっていいですか。おぅ、いいぞ。
骨の私以上に軽いですね、ルフィさんは。
何物にも縛られないそんな軽さで、あなたは私の孤独を掬い上げ、先に光を見せてくれました。
今、新たな主のために、私はまた剣を捧げましょう。
そしてこの誓いが最後です。
あなたが私の最後の主。
この身が尽きるまで、生涯私はあなたと共に歩きましょう……あ、私もう身は尽きてました。



9.「すこしは」
海賊団らしくなったかな?
全部で9人。
ぐるっと見回してみると、どいつもこいつも一癖も二癖もありそうな奴らばかりで、さすがおれの仲間だなぁと感心する。
全部おれがみつけた大事な仲間。
全部おれのもんだぞ、誰にもやらねェ。
ゴムの身体でよかったな、とこんなとき本当に思う。
だってみんなをいっぺんにぎゅぅーっと抱きしめるには、そんくらい手ェ伸ばさないといけないだろ?

- END -

2008-09-01

回答数がちょうど9だったので麦わら海賊団一人ずつに当てはめてしまいました。 ちなみに
1:これまでの人生。
2:恋人との未来。
3:一人のときの私の状態。
4:自分の嫌なところ。
5:自分の老後。
6:自分の本当の姿。
7:好きな人の前にいるときの自分の態度。
8:嘘をついているときの自分。
9:今年の目標。
  ……なのだそうです(笑)。