微エロで10のお題
ゾロはゆっくりと上半身を起こした。
隣には頭まですっぽりと毛布にくるまったままのルフィがいる。
ついさっきまであんなに激しかった部屋の空気が、今は不思議なほど静寂に包まれている。
普段1人で使用しているベッドはさすがに男2人が横になるには狭いが、これ以上詰めると体がルフィに触れてしまう。
それも今更だと苦笑しながら、それでもそれ以上傍によるのが躊躇われ、かといってベッドから離れる決心もつかず、
ゾロは広めの肩をすぼめるように、ただそこでそうしていた。
あのときの熱は一体どこから来たのだろう。
誤魔化すつもりは毛頭ないが、それでも何かに突き動かされたかのような、熱病にも似た狂おしさの元凶をゾロはわからないままでいた。
『ゾロの部屋は殺風景だな』
その年頃にしては珍しく、ほとんど物の無いゾロの部屋を面白そうに見回しながらルフィが笑った。
『悪かったな』
『いーや、ゾロらしくて好きだぞ』
好きだぞといつもの笑顔で軽く笑う。
ルフィの言葉はそんな意味ではないのだと自らに警告しながらも、ゾロはかぁっと全身の血が滾るのを抑えきれない。
そして、何かに躓いたルフィがよろけ、その拍子に体温の高い彼の指先が傍にいたゾロの腕に縋るように触れた瞬間。
その熱が恐らくスイッチだったのだろう、全ては一気に動き出したのだ。
毟り取るようにほどいたネクタイでルフィの両手を縛り上げ、そのままベッドサイドに括りつけた。
両手を上に持ち上げた形で拘束されたその前を肌蹴させ、ゾロはルフィの身体に触れる。
おい、とルフィの声が聞こえたが一切無視した。
待てよ、とばたつく足を自分の足で押さえて圧し掛かり
指を滑らし、唇で濡らし、強引に押し入って、余すところ無くその体の隅々までを食らい尽くしたのだ。
かさりと布の擦れる音が聞こえた。
「ルフィ?」
ようやく動きを見せた気配にほっとして呼びかけるが、返事はない。
眠っていないのは不規則な息遣いですぐにわかった。
狸寝入りだとしたら相当に不器用だ。
「…ルフィ…」
「今なんか言ったらぶん殴る」
毛布の中から聞こえる幾分篭った、しかしきっぱりとした声に釘をさされ、ゾロは言いかけた言葉をのみこんだ。
「だが…」
「言い訳なんかしたら二度と口きかねェ」
二本目の釘が容赦なくゾロを刺す。
けれど。
毛布の下からごそごそと伸ばされたルフィの指がゾロの手を探り当て、その指先にそっと重ねられた。
身の内にある熱を分け与えるかのようなその熱さに、くらりとめまいを覚える。
「指が熱いな…」
「誰のせいだ」
こちらを伺う濡れた瞳はしっかりとゾロだけを映していて、先ほど交わした互いの熱がまだ燻るように体に残っているのだと、言外に告げている。
「…責任は取る」
「当たり前だ」
ルフィはふぅと大きく息を吐くと、ゾロに向けてまっすぐに両の腕を伸ばした。
「離れたら許さねェ」
「ルフィ…」
その腕に誘われるように身を倒しながら、ゾロはゆっくりと毛布を剥ぎ取っていく。
「…今度乱暴な真似したら二度とヤらせねェ」
「ああ」
「それから…」
「もう黙ってろ」
「ゾロ…」
続く言葉はどちらのものともわからない吐息の中に紛れて消えた。
-- end --
2008-01-11
一応学生パラレル設定だったのですが、
ごちゃごちゃしていた設定を一切取っ払ったらわかりにくい不親切な話になってしまいました。
きっかけは無理矢理、でも結局は両思いというパターンが好物なようです、私。