道のど真ん中で、見るからに風体のよくない輩が
武器を手にさかんに怒鳴り散らしています。
ここからは見えませんが、誰かを取り囲み脅しているようです。
さらにその周りを町の人々がぐるりと取り囲んでいます。
はらはらとした表情で見守る様子から、厄介な騒ぎが起こっているのが窺えます。
喧嘩でしょうか。もしかして・・・。
ある胸騒ぎを覚えてルフィは、人を掻き分けその輪の中に入り込みました。


案の定。
「おっルフィ、起きたのか?」
輪の中心で、男たちと対峙していた緑髪の剣士がこちらを見てにやりと笑います。
ゾロです。
結局ゾロにまで「起きたのか」と言われてしまいました。
さすがにちょっとむっとしましたが、それは置いとくとして
「何だよゾロ。さんざ人に探させといて、自分は喧嘩してんのか」
「そう言うな。こいつらが先に吹っかけてきたんだ」
そんなこと言われなくてもわかります。


一癖も二癖もありそうな胡散臭い面構えの男たち。
ゾロの後ろで泥だらけになって泣きじゃくる小さな女の子。
頬には殴られた痕があります。
それを腕に庇うこれもまた泥まみれの母親らしき女性。
道端でボロボロになって倒れている恐らくは男たちの仲間の一人。


まあ、ルフィにも大体の事情は察せられました。
「ったく、ゾロのやつ・・・」
初めて会った町でも女の子を庇って磔になってたゾロ。
どうしてこうも次々と厄介ごとに巻き込まれるんだろうと、
自分のことは棚に上げて、ルフィは呆れたように呟きました。


「馬鹿だなあ兄ちゃん、そんなカッコつけるから要らねえ怪我すんだぜ」
男の一人が得物をちらつかせながら、ゾロを挑発します。
しかし対するゾロはちらっと一瞥しただけ。
まるで野良犬がそこらを通り過ぎた程度の反応は、男たちに火をつけてしまったようで
辺りがざっと殺気立ちました。
相手は多数ですが、この程度ならゾロの敵ではないでしょう。
ただ心配なのは周りにいる人々のこと。
ここにいる全員を恐らくなりふり構わない男たちから庇いながら戦うのは、
さすがのゾロでもきついかもしれないとルフィは思いました。


「しょうがねえなあ・・・」
ルフィはぶんぶんと肩を回しました。
「いっちょやるか」


さあゾロのとこに飛び込んで行きましょうか。
ところで今サンジは・・・





オレの隣にいるぞ

いーや、いないな