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620話 「憧れの遊園地」


扉絵。
珍獣島…ああ、お元気そうなガイモンさん。
あっ、すっごい可愛い彼女(?)が出来てる!!
しかも箱入りっ…じゃなかった樽入りっ!!??
それはそうと、ルフィたちの新聞記事は今回あまり関係ないんだな…と思ってみたり。


本編。
竜宮城から逃げ出した大臣や兵士達は、フカボシ王子たちと合流すべく一番近い町、ギョバリーヒルズへ向かいます。


一方そのギョバリーヒルズ始め
北西、お菓子工場の町。
南西、魚民文化会館前。
西、マリンショッピングモール。
各町にヒョウゾウ始めホーディ一味の幹部達が現れ、住民達に「踏み絵」を強要しています。
絵を踏むか島を出るか。
できないやつには斬るなり殴るなりの暴力で応対。
ああ、幹部連中はこっちに来てたのか。
いやぁ、みんな竜宮城に来ちゃったらさすがにゾロでもキツイよなぁと思ってたのですが、その心配は無用でしたか。
ヒョウゾウとの顔合わせはまた後のお楽しみ…てかゾロは今溺れてますんでね。


北の水車の町ではフカボシ兄様が幹部の一人ドスンを殴り倒しています。
おお、言わてれるとおり強いぞ、兄様。
恐らく怒りで強さも倍増しています。
何故なら彼らの踏ませているものは、亡き母上、オトヒメ王妃の写真なのですから。


南東、サンゴヶ丘ではさっきの一件に住民達が大騒ぎ。
デッケンも取り逃がし(やっぱり逃がしたか)、しらほし姫も麦わらの海賊に連れ去られ(笑)、
そして島のあちこちで魚人街のやつらが暴れているという情報が彼らをさらに不安にさせます。
そんな中、「ビィ〜〜ッグサイズ人魚さ〜〜ん」とこっそり現れたカリブー。
今見た大きなサイズの人魚姫を売り飛ばせば一体いくらになるかと算段中。
あああ、どうしよう、カリブー見てたら、なんかホッとしちゃった!
このとんでもない事態の中、たった一人、非常にせせこましい算段をしている彼に思わず日常的な平和が感じられます。
ありがとう、カリブー。あなたは非常時の中の非常識。
一回転して、ある意味われわれ読者を癒す灯火だったよ(笑)。


海の森。
いよいよ物語りは過去を交えた魚人島核心へ…。
そんな中、おっ、こちら側にもホッとする人物が。
んレディー達ィ〜〜〜〜〜vv
どこからかティーカップをちゃんと用意してきたサンジくん。
しかも姫にはビッグサイズ(笑)。
彼の「お茶ですv」の変わらなさが嬉しい。
…けど「ありがと、そこ置いといてサンジくん。あとまじめな話してるからそのテンションやめて」
ナミさん、ばっさり(笑)。


でもこのばっさりだからかな、こっからのサンジくんはまじめな顔のサンジくんに戻るのですよ。
わー、何週間ぶり?
話が大事なナミさんのことだってせいもあるんでしょうけどね。カッコよくて賢そうなサンジくんに戻ってくれてホントに嬉しい。


初めてジンベエの名を聞いたときのことをサンジは話します。
『ジンベエは七武海加盟と引き換えにとんでもねェ奴をイーストブルーへ解き放った』
ヨサクからそれを聞いたのは一体何年前だったか。
「ロロノア・ゾロ海に散る」の辺りだから連載1年目くらいだったかな。(私の記憶は全てゾロが基準らしい)
サンジはそれを覚えて、ジンベエ=アーロンの黒幕と認識してましたが、もちろんルフィはすっかり忘れてます。
まぁ聞いたところでルフィです。
偏見や先入観なく、自分の目で見て相手を判断するんでしょうけど。


そして
「ここにいるナミさんの故郷こそ、アーロンに支配された島、彼女自身苦渋を嘗めてきた一人だ
話次第じゃお前を…おれは許さねェ!!」
おおお、すっごいカッコいいぞ、サンジ!!!
一体何があった!!!(失礼な)


ナミは思い出します。
突然のアーロンの出現。
ベルメールさんの死。
メチャクチャにされた大切な村。
閉じ込められ虐待され海図を描かされた日々。
金のために傷ついてもひたすら盗み続けた自分。


思い出にぞくりとしながら、でもナミはまっすぐ顔を上げます。
アーロンを不憫だと思うつもりはない。
それはそうでしょう。
でもシャボンディ諸島での一件。
「あんなに強い魚人たちが人間から迫害を受けていたなんて」
もう一つナミを驚かせたのは、シャボンディパークがアーロンパークにそっくりだったこと。
前にあの辺りを読み返して、そういやなんでアーロン「パーク」なんだろうと思いました。
別に遊園地でもないだろうに、妙に楽しい名前だなと。
(別件ですがもう一つ、ハチがゾロに『おれは魚人島で一人を除けば最強の剣士』と言ってたのを見て、うわーっと思いました。 長い伏線だな…と)


「憧れてたんだ」
ハチの言葉が全てです。
人間を嫌い、人間を恨み、でも…ずっと人間の世界に憧れていた。
ここで出てくるシャボンディパークを海から眺める子供のシルエットが…
これ、アーロン?アーロンですよね!?
クロオビやチュウも入れた4人。
まだ子供です。
それが遊園地を見上げてるの。
なんだよ、アーロン…可愛いんだよ。(いや顔は見えてませんけど)
その切なさと言うか、もう痛さ。
アーロンのやってきたことを憎らしいと思うほど、ここでの子アーロンの切なさが胸に迫ります。それが悔しい。


<ハチの語る魚人の歴史>
・〜200年前  魚人&人魚は魚類として分類。
・200年前   リュウグウ王国は世界政府に加盟。一応人間達と友好関係を結ぶ。
         ただし依然差別あり。
・大海賊時代(ロジャー処刑後。24年位前?)
         海賊達、魚人島で好き放題。
         白ひげ登場。「おれのナワバリにする」の一言で魚人島を救う。


友好関係と言ったって、政府中枢ほど差別体質は根強いとジンベエは語ります。
権力を手に入れたものほど変化を恐れるから。
それは何となく納得ですね。


その頃この歴史を変えるため、魚人島で二人の人物が立ち上がりました。
一人がオトヒメ王妃。
人間と「共に暮らす」ことを説き続けた姫の母上。
もう一人がフィッシャー・タイガー。
人間との「決別」を叫び、世界の禁止事項(天竜人に逆らうこと?)を犯し、聖地マリージョアを襲撃、奴隷達を解放した男です。
共存と決別。この両極端な対比具合に、悲劇の予感を覚えます。


フィッシャー・タイガーの名にルフィが
「どっかで聞いたぞ?」
はい。ハンコックが語ってくれてましたよね。2年前だけど。
どんな重要事項だろうと大雑把にしか覚えてないところが、ルフィの持ち味でございます。
主人公がこうだからこそ、この物語は却って上手く回ってるんだろうと思います。
何よりお茶飲んでる姿が可愛くてたまらないから許す。(おい)


フィッシャーはハンコックが恩人として聖域化している人物なので、何となく 人間に友好的な人物と勝手に思っていました。
というか、イメージ的には人間にかなり近いつもりでいましたよ。
奴隷を「種族に関係なく」解放した、というところででしょうかね。先入観て怖い。


ジンベエが昔を語ります。
政府に激しくたてついた魚人海賊団が海にいることが人間との友好を実現しようとするオトヒメ王妃の首を絞めることになったと。
今を堪え忍び、未来を変えようとする王妃
未来を捨て、今を苦しむ奴隷を救い出したフィッシャー
ジンベエだけじゃない、誰だってどちらが正しいかなんて決められるはずもありません。
だけど…
そう語るジンベエは一体どんな行動を取っていたと言うのか。


舞台は 15年前のグランドラインを航海するタイヨウの海賊団。
タイのお頭〜〜〜と駆けてくるハチ。


…もしかして「鯛の尾頭」ってこと?
フィッシャーはタイの魚人ですが、アーロンたちがサメだの強い魚だってのに、何故タイなのか。(鯛も鱗硬いけどね)
尾田っちの拘った理由が何となくわかった気がしました。(笑)


ハチはオールバックですか?
アフロのクロオビ、新妻エイジみたいな髪型のチュウ。
みんな若い。もちろんアーロンも。
そして、うわぁ。
いまでこそ仁義あるオヤジって風格のジンベエですが、めちゃめちゃ怖いよ。全てに気合入ってるよ。
いかにもヤンチャしてましたって感じが、振り返ったら自分でも痛いんじゃないかなぁと心配です。
そんな彼らに何があったのか。
巡りめぐって、何故オトヒメ王妃は暗殺されなくてはいけなかったのか。


人間と魚人の対立だけでもなのに、魚人と人魚、種族間でもそんな諍いがあったとしたら、 あまりに悲しすぎる。
しばらくジンベエの語る魚人島の過去話に耳を傾けたいと思います。



2011/04/11




621話 「オトヒメとタイガー」


まず特筆すべきは扉絵の3人組でしょう。
懐かしいウソップ海賊団のにんじん、ピーマン、たまねぎ。
新聞を手にキャプテンのその後の活躍を語ってるのかな。いい笑顔です。
それにしても…2年ちょっとのあいだに見事に成長しています。
少し背も伸びて、顔つきが子供から少年へ。
すみません、結構ときめきました。
彼らの5年後くらいが見たいです。てか激しく希望!(見境なしか)
今でもきっと「海賊がきたぞ〜!」とやってくれてるんでしょうね。
そう確信持って 思えることが嬉しいです。


本編。
ジンベエの語る過去編です。
溺れかけてたゾロがものすっごく気になるんですが、 それはもうしばらくオアズケ。
再登場はいつでしょうか、息が続くか心配です、私の。(はぁはぁ)


16年前の魚人島。
人質を抱え、逃げる強盗。
そこへ向かう人こそ、この過去編の中心人物、オトヒメ王妃。
弾丸も軽くかわし(すばやいんだな)犯人にビンタ。
いきなりの展開にそんなに強い人なのかとびっくりしましたが、逆に王妃は手を複雑骨折。
人並み外れて体が弱いんだそうです。


金魚の人魚。
あれ、淡水魚……
と、まぁそういう細かいことは置いておきます。
シーラカンスという超レアな王様に対して、普通に見かける金魚のお妃様。
このアンバランスさがまた一興。
体の大きさも随分違いますが、それでも仲睦まじい二人なんでしょう。
王族同士の結婚なのか、はたまたその出会いにドラマ等があったのか、 たぶん描かれることはないでしょうが。(そこに食いついた私)


オトヒメ王妃はずいぶん想像と違っていました。
個人的なイメージとしては、ビビを大人にしたようなイメージでした。
彼女のまっすぐさに大人の落ち着きをプラスしたような、まさに 王族の女性って感じで。
でも、まず外見。
思っていたよりケバかった…とは失礼な物言いでごめんなさい。
だって目元がばちばちでびっくりしたんですもん。(笑)
重要人物でこういうビジュアルの女性キャラって珍しくありません?
そして性格も、一言で言えば熱血?とにかく感情豊かな人なのです。
怒って泣いて笑って。
激しすぎて心配になりますが、それでも国民の一人ひとりに寄り添いたいという彼女の 必死な思いはちゃんと伝わってきます。
だから皆も王妃と一緒に涙したり笑ったり。とても好かれています。
強盗ですら、彼女の言葉と涙にすっかり改心。顔つきまで変わってます(笑)。
ついカタルシスウェーブ…と呟いてみたんですが、 わかる人はいない…よね。(byマシンマン)


熱血、愛の人オトヒメ王妃は日々城から島へ降りて国民達に語り続けます。
人間達が自分達を理解してくれるのを待つのではなく、こちらから寄り添い彼らを知ろう、と。
この島に来るのは海賊、人攫いから人類を買うのは貴族という権力者。
自分達はごく一部の人間達しか知らない、だから 彼らと同じタイヨウの元(太陽がカタカナなのが意味ありげ)にこの王国を移そう、 移住の意志を世界に示そう、と。


言っていることは本当にそのとおりだと思います。
ルフィたちを見ていれば差別の無い人間も普通にいるってわかりますし、 この頃にはトムさんもココロさんもウォーターセブンで 暮らしてたはず。
もちろんトムさんたちにもかなりの苦労があったと思いますが、 魚人や人魚が人間達と まじり合うのは不可能ではないんです。
ただ壁は高いですよね。
仕方ないんだけど、魚人たち側の意識にもかなりの壁がある。
オトヒメ様の言葉でも…と言いながら俯くしかない国民達。
無駄じゃとそっぽを向く、一応オトヒメ付き警護係のやさぐれジンベエ。
王妃の目指す理想にはまだまだ遠いです。


そんな王妃を癒してくれるのが子供達でした。
きゅっと重ねあう5つの小指。
生まれたばかりの巨大赤ん坊(笑)しらほしに3人の王子。
可愛いよ、3人とも!!!
特にフカボシ兄様は眉間のしわもなく、実に王子らしい王子です。
マンボシ、リュウボシ兄様たちも本当にのびのびと穏やかそう。
でね、もう自分でもどこに涙腺のツボがあるかわからないんですが、ここでの
「母上様、手…大丈夫?」と言う、マンボシ(かな?)のセリフに泣けてしまいました。
王妃は手だけじゃなくて、心も何もかもすごくたくさんの痛みを抱えているはず。
不安とか焦りとかホントにいろいろと。
でももちろん幼い王子たちにそんなことがわかるはずありません。
彼らには目に見える母上様の怪我した手。それが本当に心配なんです。
子供ならではの一生懸命な優しさ、 母親は誰でも覚えがあるんじゃないかな。
小さな手が背中をさすってくれる、心配げに一生懸命顔を覗き込んでくれる、
こんな私のようなダメ母ですら、経験ありますもん。


そんな子供達がいてくれるからこそ、王妃は
「あなたたちの生きる未来…母はきっと変えてみせます」
と決意を新たにするのです。
オルビアも「あなたたちの生きる未来を私たちが諦めるわけにいかない」と言っていました。
母親たちは、血が繋がっていてもいなくても、いつだって子供が笑って過ごせる未来を望んでいます。
その王妃がいずれ亡くなるわけなんですが…。
幼い子供達を残してどれだけ心残りだったか、それを思うとまた泣けそうです。
しかも病死とかじゃなくて暗殺てのが、 今から悔しくてなりません。(先走りすぎ)
どうか、魚人島の冒険の大団円では王妃の夢が叶えられますように。


ここで娘たちと 「じゃあしらほしは今16歳なんだー」「もっと年上かと思ったねー」言い合って、ふと気づいたのが
デッケンが見初めたのが、しらほし6歳!!??


「それ犯罪!!」と思わず女子高生が叫んだその事実。
いくらなんでもマズイぞ、デッケンよ。
6歳の幼女を追いかけて10年間。
母の葬儀にすら出させず、ひたすら斧やら武器を投げつけ、それで好かれようとはあまりにも無謀だって。
それにしても姫は16歳…ルフィより3つも下なんだv
だからルフィが妙にお兄ちゃんぶってるのかな?
末っ子は下の存在に飢えてるから、守らなきゃいけない相手がいると妙に頑張っちゃうものなのです。


話を戻しましょう。
王が語ります。
王妃の夢見る世界は、何百年も前に遠い祖先たちが試みて無念のまま潰えた夢そのもの、と。
ここで背景に魚人街ノアにある箱舟?みたいなものが出てくるのです。
ノアって以上やはり箱舟なのかもしれませんが、これで何か…移住?でもしようとしてたんでしょうか。
ただの差別問題を超えてまだまだこの話は深そうです。
ここらじゃまだ入り口に過ぎないんでしょう。


ある日、移住の署名活動を妨害するアーロン、25歳。(若いなー/笑)
そしてそれを「おいチンピラ」と、キセルをふかしながら止めるネプチューン軍兵士のやさぐれジンベエ、30歳。
「わしゃ興味ねェが…王妃にとって大切なもんじゃ」というセリフがいい。
やさぐれてますが、王妃を大切にはしてくれてたんだなーと。


ジンベエの言うことは素直に聞いちゃうアーロン。
なんたって同じみなし子の街、魚人街出身の仲間ですから。
「まだ海賊なぞやっとるのか、クズめ」と言い切る辺り、ジンベエはやさぐれていますが、 海賊をやるほどの悪では無いようです。
この後、ホントにいろんなことがあって46歳のジンベエはあれだけどっしりした おやっさんになったんだなぁと思うと、このやさぐれ度が恥ずかしいような、 でも微笑ましいような。


そこに冒険家(そうでした!)フィッシャー・タイガーが帰って来た知らせが。
J「タイのアニキが!?」
A「大アニキが!?」
揃って嬉しそうな顔になるのが、何ともまぁ…。
なんだよ、アーロンがホントに若いよ。
「ウチの船にも寄ってくれ」って慕い方が、まるでキャプテンに対するウソップ海賊団じゃないか。
確かに今さらアーロンを不憫だなんて思いませんけど、でもこういう時代もあったんだと、 知れば知るほど思いが複雑になります。


魚人街とは元々みなし子を預かる巨大保護施設だったのが、やがて荒れ始めて 管理者たちの手に負えず、やがてはみ出し者の集まる無法地帯になったのでした。
そこにいたのがおなじみの面々。
リーダー格だったフィッシャー・タイガーは冒険家に。
次のアニキ分、ジンベエは王国軍隊の精鋭に。
気性の荒かったアーロンは海賊。
卑怯者マクロは人攫い屋。(考えてみれば魚人なのに人魚攫ったんだな…)
と、大人になってそれぞれの道を歩いています。


それがまた顔を揃えることになったのが、タイガーによるマリージョア襲撃事件。
奴隷解放の英雄ですが、一方で大犯罪者でもあるわけで。
世界政府の前に見殺しにはしないと、彼を慕う魚人街の面々が集結して「タイヨウの海賊団」結成、となるのでした。


海軍の追っ手を何隻も沈める無法集団。
アーロンが「その辺にしとけよ、もう意識はねェ!!」と焦って止めるほど(どびっくり!)、執拗に 海兵を殴るジンベエ。
うわー、人間相手なのに止めるアーロンと容赦なく殴るジンベエ。
貴重映像ですねー。(そんな場合じゃない)
「奴隷はまかり通るが、奴隷解放は罪…!これでも人間を愛せと言うのか、オトヒメ王妃…」
ジンベエは呟きます。


ジンベエは王妃の目指す世界が気になってならないんでしょうね。
彼女の言うこともどこかで認めているし、そんな理想が叶った世界を夢みたいのかもしれません。
でもジンベエの前にある現実はそれとは程遠いものばかり。
根深い差別意識、魚人が奴隷とされる実態。
奴隷解放が悪とされるならば、一体この世の中は何が正義なのか。
疑問に思って当然だと思います。
やがて白ひげと出会い、そこで実際に自分の「個」で人間に触れ、 そうして オトヒメ王妃の、一部の人間しか知らないという言葉に改めて気づいたのでしょう。
それが後の「「ワシはほれ込んだ人間にしか手を貸さない」(セリフ曖昧ですみません)という 信条になったのかなと思います。


この後、オトヒメ王妃は暗殺、タイガーは供血拒否による失血死、と 魚人島を思い正反対の方向ですが行動した二人は共に死を迎えます。
もしかしてその原因の根っこは同じだったりして。
失われた歴史、あるいは古代兵器すら絡んできてもおかしくないような 感じにもなってきました。
それが今度ルフィたちが戦う相手なのか…とまた先走ってすみません。
だってゾロが心配なんだもん。(やっぱりそこか)




拍手ありがとうございます。
4月12、13、14、16、17日の各日いただきました。
長いこと放置していたにもかかわらず、お越しくださり、 またぽちっとの一手間をくださいましたことに感謝申し上げます。
今週はおとなしめの真面目な感想です。
こんなこともできるんですよ〜(えっへん)と、ちょっと胸を張ってみましたが、単にゾロが 出てないからです、ごめんなさい。



◆17日22時の方
いつもありがとうございます。
体調にもお気遣いいただき、すみません。 風邪は治りきりませんが、ワンピースが私の元気のもとです。ワンピースある限り母は死なないよと 娘達にも言っていますから♪(間違った母のあり方)
アーロンの過去話は見たくないとどこかで思ってしまいます、 だってどうしても感情が入ってしまうから。
ナミにひどいことして絶対許せないのに、悲しい事情を知るとそれができなくなりそうで。
でも仰るとおり、確かに彼は仲間には深い情を持っていましたね。
王国にも反発はあったかもしれませんが、どうこうしようとは思ってなかったようだし。
一方ホーディは魚人の仲間にすら、自分の野望のためには犠牲を求めます。
若さゆえの暴走なのでしょうか。それとも何かに利用されてるだけなのか。


>『新世界への入り口であること、人魚・魚人が人攫いに常に狙われてることを考えても、情報力は高くないといけないはずなのですが』
そういえば、ジンベエ始め、魚人の皆さんはイマイチ情報が曖昧ですね。
>『情報力×で未来予知に振り回されるって、普通ならとっくに滅ぼされてますよ』
そうなんですよ!
深海1万mを考えれば情報が来るのは遅いのかもしれませんが、でも人間との交流は(観光と言う上辺だけにしろ) あるわけですし、新聞だってあってもよさそうなのに。
そのくせ予知にはものすごく敏感。
閉鎖的だなぁという印象を受けます。皆の心自体がね、閉じてしまってるの。
王妃やタイガーは、それを何とかしたかったのかなと今ふと思いました。


> 『人魚・魚人が差別されるのは所謂異種族だからだけではなく、失われた歴史が関わっているのではないかと思います』
ロビンの動きからして古代兵器とかも絡んでいたりして…。
とはいえ、ロビンはもちろん、麦わらの一味の登場はまだまだ先でしょうねぇ…。
ため息が出そうですが、過去編もなかなか興味深いのでじっくり読み進めたいと思います。
尾田っちはどんな種明かし(?)を用意してくれてるでしょうね。



2011/04/19




622話 「タイヨウの海賊団」


GW進行でこちらもなんとか間に合いました。よかった。
で、今週は巻頭カラーv
フランキー設計によるブロックの家作り。
さすが餅屋は餅屋、なんともカッコいいアニキのお姿です。
座ってるから体の大きさもそんなに皆と違和感なく、これならどうにか人として接することは出来そう(笑)。
ルフィは一番てっぺんでノリノリ作成中♪
今回はサンジくんが良い位置だなぁ…
みんなにハンバーガーを差し入れに来た彼は、まぁ足がすらりとしてスタイルのイイこと…今さらだけど。
そんなサンジに何の難癖をつけてるのか(笑)、ちょっと前を歩くゾロがまた何か言ってます。
サンジに絡むのは良いけど、よそ見してるからあと2秒後にはトリの棟梁(?)と激突必至。大丈夫か、剣豪。


本編。
今回も魚人島過去話。
麦わらの一味の活躍はオアズケです。
話は面白いのだけど、息が続くか心配でたまりません、ゾロというよりそれを思う私の。(はあはあ)
たまにはちらっとルフィたちがどうしてるか入れてくれたらいいのに、なんて思ってしまうのは読者のワガママですね。
やはり過去話は一気に読まないとダメな気がします。
話が現在と交錯したら熱が冷めてしまうもの。


天竜人に逆らい、奴隷を解放したタイガー。
魚人島では英雄の出現に大喜び。
そしてネプチューン王は、自分の前ではっきりと奴隷を解放すると宣言したタイガーの言葉を思い返しています。
もちろんもろ手を挙げて賛成なんてできません、王は負の連鎖を知っています。
そんなことをすればますます人と魚人の溝は深くなるんです。
だけどタイガーに反対も、止めることもできませんでした。


「おぬし、今回の旅で一体何を見た…!」
「…人間です!!」


タイガーの一言は私たちにも想像がつく重さを伴っています。
種族の違いで魚人(だけじゃなさそうだけど)を虐待する人間。そして人間すらも奴隷扱いする人間。
そんな人ばかりではないはずなのに、でも奴隷解放なんてことを決心するほどのことを見てしまったタイガー。
この一コマの重さに泣きそうです。


生まれつき見聞色の覇気を持っているオトヒメ王妃は、さらにタイガーの思いを感じていました。
「彼の心から聞こえる『声』が…大きな悲鳴を上げていたから」
それでも彼女はタイガーとは違う道を選ぶのだと、また違った意味での強さにただただ感服します。


王の腕に抱かれてすやすや眠る乳児しらほし。(てか、王以外抱っこできないよな…)
その周りを見守るように泳ぐ3人の王子。(これがっぱり可愛い)
ここには一番の安らぎがあるのに、それを一時置いても、やはり彼女は町に立つのです。
「人間達と共に生きましょう!」と、署名を呼びかける。(何となくやり方が強引になってきましたが;)


「今は無理でも、7年後でも!!11年後でも!!15年後でも構わない!!
いつかまたこの国が世界会議に参加できる日のために…!!」
私はぼんやりしてたんですが、次女が言うにはこれ4年おき…って、あああ、ホントだっ!
もしかして世界会議のある年ってことなのかと、ちょっと検索かけてみたら(ずるい)、やっぱりそう考えてる方がたくさんいらっしゃいました。 皆さんすごいわ。4年に一回とか今まで作中に出てないのに。
だけど3年後…次の会議には出られないのが決定してるんですね…。


魚人街ノア。
ホーディと今の幹部達(ドスンとかね)がタイガーの所業に賞賛を贈っています。
15歳だったのかー。中3かー。
連れてってもらえなかったとか言ってたから、もっと小さいと思ってました。
だってシャンクスたちはとっくに船に乗ってる歳ですよ。
それなりに年功序列ありそうな集まりだから、15くらいじゃ子ども扱いなのかな。
それにしても「人間なんかみんなクソだってアーロンさんいつも言ってたぜ!」
「下等なんだ、あいつら下等!」
「人間なんかぶっ殺せー!」
事態はそんな簡単なもんじゃありませんが、 ジンベエやタイガーの思う小難しさより、アーロンの暴力的な行動のほうがずっとわかりやすいんでしょう。
子供ゆえの純粋さで簡単に染まります。


一方、グランドラインでは、タイヨウの海賊団が海軍相手に大暴れ。
少将がやられながらも
「奴隷であった者達を全員差し出せ!そうすれば貴様らの命も…」
というんですが、タイガー云々より、まずそこなのか。
なんだか天竜人が直に命令してるんじゃないかって気がしてきました。
奴隷を逃がされたことが屈辱だったのか、それともただ単に奴隷がいないと不便だからか。
後者の可能性もありそうで、その当然のように歪んだ考えがまた怖い。


海軍本部ではボルサリーノ中将が魚人海賊団の報告を受けています。
なんか売れてない私立探偵かマフィアぽいカッコですねぇ…邦衛さんのドラマでこんなのあったかな。
机の上にバナナ(?)が見えるんですが、これは後の黄猿だから?
いや、バナナはどうでもいいんだ。
「どうして挑むんだァ〜〜〜」
「お〜〜〜怖いねェ〜〜〜」
「厄介だねェ〜〜〜」
青キジほどだらけきってもいませんが、赤犬ほど徹底した正義でもなさそうです、この人。
適当な正義?
まぁその垂れた目の奥で何考えてるかはわかりませんが。


タイヨウの海賊団では、ジンベエとアーロンがタイガーに説教されています。
「人を殺すな」と。
実力あるこの二人は、突っ走って相手を殺そうとしてるので。
もちろん二人にも言い分はあります。
アーロンは、人間を下等生物として何とも思っていませんし、
ジンベエは、あちらが殺る気でくるなら仕方ないし腹も立つというところで。
でもタイガーは言います。
「殺したら負けなんだ!あいつらと同類になりてェのか!?」


これは差別の歴史への復讐ではない。
このタイヨウの海賊団は「解放」と「自由」、それ以上の意味は持たない。


タイガーはちゃんと負の連鎖を知っていました。
ここで自分達が恨みのままに人間に復讐をすれば、さらに人間が復讐をする。
未来の魚人族のために悲劇の種を残してはいけないのだと。

最後の一線を守れ。
おれ達はだれも殺さない!!


けれどアーロンは聞きません。
復讐されないように魚人の強さと怖さを知らしめればいい。
恐怖を焼き付けてやれ、これが彼の持論です。
で、ここんとこだけが今のホーディたちに受け継がれてたりするんですが。


と言っても、もちろんアーロンはタイガーに逆うつもりはありません。
そしてジンベエは馬鹿を言うアーロンを殴りつけています。
この辺、彼らの力関係とそれぞれの思いが複雑に絡み合ってますね。
思想的にはジンベエはタイガー寄りかな。 オトヒメの訴えもわからなくはない。(理解はしてないかもだけど)
でもまず現実、って人なんでしょう。
絵に描いた餅では腹は膨れないってことです。


「ジンベエ…オトヒメ王妃の訴えは理想だな…
彼女にとっておれとアーロンの何が違う…
おれは自分の心の奥に住む鬼が一番怖い」


月を見てつぶやくタイガー。
彼はオトヒメの訴えを理想と言いながら、それが実現する日を夢見ているのかもしれません。
復讐が復讐を呼ぶことを知りながら、暴力的な方法で奴隷解放をしたタイガー。
それに後悔はしてないでしょうが、「これは差別の歴史への復讐ではない」と言う自分もまた、 オトヒメ同様、理想を口にしているだけなのかもしれないと思うのかも知れません。
その暴力ってのが、彼の言う「鬼」なのかな…。
悲しくも思いシーンです。


それでもタイヨウの海賊団は止まりません。
タイガーとジンベエには賞金がつき、アーロンはますます暴れ、彼らのニュースにホーディたちはますます喜び、
一方オトヒメは ますます署名活動に力を入れていきます(さらに強引な勧誘になってる気がする…)


3年近くが過ぎ。ここで12年前。ナミの悲劇まであと2年。
…ってことはタイガーの命も残り少なくなってきたわけです。


ここで 彼らに一人の人間の子供が預けられます。
名前はコアラ(女の子)、12歳の元奴隷。
タイガーに解放された一人です。
この子を親元に届けるように頼まれましたが、 一体どういうルートでなんだろう??預けた方も人間だよね??


それにしてもおっそろしい、人間嫌いの魚人たちの中にこんな小さな子を一人預けるとは尋常な状況じゃありません。
元奴隷だから(烙印付き)こうするしかなかったんでしょうけど…。
案の定、アーロンに吹っ飛ばされるコアラ。
血が垂れて、でもにこにこと笑みをたやすことなく自分の服で血を吹き続けます。
泣きませんから、手を休めませんから、叩かないで、殺さないで、
表情の無い目でにこにこ笑いながら、言い続けます。
ジンベエが止めるんですが(いいおじさんな今の彼のふと思わせるシーン)、コアラには奴隷の暮らしが染み付いてしまってました。
休んだり泣いたことで、周りの人間が殺されるのを幼い目でみてきたのです。
だから笑い続け、働き続けます。まだ12なのに。


ここでジンベエは改めて、奴隷制度の罪深さを思ったのかもしれません。
そして奴隷とされたものに魚人、人間の差はないのだと。
タイガーはコアラを部屋に呼び、焼印を押します。
それは奴隷の烙印を消すためでした。
荒っぽいけれど、奴隷であった過去を消す唯一の方法です。
心に染み付いた過去は取れなくても、せめて体だけでも…。そうでもしないと現在にすら踏み出すこともできないんですから。
目覚めてもまだにこにこと笑うコアラにタイガーは叫びます。
「泣きゃあいいだろう!!おれ達を天竜人と一緒にするな!と。


タイガーは目の前で銃を海に捨てて見せました。
おれたちは誰も殺さない。それを行動で示すために。
そして必ず連れて行く!と宣言したタイガーにコアラは初めて顔をゆがめて泣くのです。
人間らしく。


これは…ずるいよなぁ…。(泣)
タイガーやジンベエに先に種族の壁を乗り越えられてしまいました。
むしろまだ「アーロン許せん!」とか思ってる自分がとても恥ずかしいです。
コアラの痛みは、虐げられてきた彼らだからこそ受け止めてあげられるんでしょうね。
そこにたくさんの葛藤があるのでしょうが。


この子のためにタイガーは戦いに巻き込まれ、命を落とすことになるのでしょうか。 人間からの供血拒否かあ・・・。
そして魚人海賊団は分裂。
まぁそれぞれ思想が違っていましたから、頭であるタイガーがいなくなったらまとまらなくなるのも仕方ないですね。
そしてジンベエ七武海入り。
それと引き換えにアーロンをイーストブルーへ解き放つ。(この辺がよくわからないんだけど)
アーロンはココヤシ村へ。
…と物語が展開していくわけです。
その間にオトヒメ王妃暗殺、デッケンのしらほしへのストーカー開始。
まだまだ物語りは中盤。
話は重いけど、これを越えたらこの世界の何かが私たちにも見えてくるのかもしれません…。


それにしても気になるのが、タイヨウの海賊団の「タイヨウ」なんですよねー。
なんでカタカナ表記なんだろう。 そういえばオトヒメもタイヨウの下で、とか言ってるし、「太陽」じゃいけないのかな。
あとタイヨウの海賊団が人間界では魚人海賊団て呼ばれてるのは なんでだろ、禁句ってわけでもないよねぇ???
「大洋」とかけてるとか?
まさか「鯛用」…;;(おいおい)



拍手ありがとうございました!
4月19、20、21、22、23、24、25、27、28、29日の各日いただきました。
お忙しい中をお運びいただきありがとうございます。
それにしても、ホントに一回読んだくらいじゃわからないほど濃い内容になってきましたね。
当感想もいつになく真面目で、息苦しくないですか?
麦わらの一味…てかゾロがでてこないからですが、この反動が一番怖いのは私です。
はっちゃけ不足の脳が一体どうなるやら…あああ。


◆19日19時の方
初めまして!コメントありがとうございます。
2日間で全てお読みくださったとのお言葉に感激しております。大変嬉しいです!
ただ 自分でもいくつか古い感想を読み返してみたんですが、 妄想と激情の突っ走り具合に頭痛がしてきました…。
貴女様のお体は大丈夫だったでしょうか、心配でなりません。
励みになる感想をいただき、こちらこそありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。


◆同じく19時の方
上の方とご一緒かな〜とも思ったのですが、とりあえず分けさせていただきますね。

『当時やさぐれていたジンベエが今のようなジンベエになることができたのに、アーロンは逆に人間を昔よりさらに嫌ってしまった感じですよね』
本当に…。
タイガーの死がきっかけと思うのですが、そこで道が正反対に分かれてしまったのが悲しいです。
アーロンも彼なりに苦しんでいたでしょうが、でもあの暴力性はやはり許してはいけないと思うのです。
だってジンベエはあんなジンベエになれたのですから。
複雑な思いはしますが、この続きのアーロンもまた見守っていきたいと思います。


◆24日19時の方
いつもありがとうございます!

『アイサ、王妃、途中からだけどコビー。彼らが見聞色の覇気を使える、というのは見聞色は戦闘力に関係なく使える覇気だからかな、と思います』
確かにそうですね。そして他人の声をちゃんと受け止められる人たちだから、とも思います。
そう思うと、オトヒメ王妃の強さは半端ないですよね。
みんなの心の声が聞こえているなら、署名活動が絶望的だってのも感じられるはず。
普通なら心が折れると思うんですが、それでも決して信念を曲げませんでしたもの。

『タイガーも基本は人間嫌いでしょう。(略)だからといって、アーロンやホーディのように全ての人間に憎しみをぶつけるような人ではなかったのでしょう』
読み進めるほど正直タイガーと言う人がわからなくなっています。
魚人と人間…種族の差は感じていますが、でもそれにこだわり続ける人ではないんでしょうね。
冒険家で見聞が広いこともあるかもしれません。魚人だけの世界にいたら狭い世界でしか感じられなくなってしまうでしょ。
目を曇らせることなくちゃんと世界を広く見られる人なんですね。

『サンジが下に戻ったことで、もしかしたらデッケンを倒すのはサンジじゃないかと思いました。  上陸以来全くいいところが無かった彼、そろそろ名誉挽回といきたいところ』
はっ、その可能性は全く考えていませんでした。(あらゆる方向にごめんなさい)
とりあえず鼻血は治ったようですし(笑)サンジくんの騎士道精神に期待したいところですv
アニメ情報もありがとうございます。
こちらでサボが見られるのは…あと何週先でしょうね。(ため息)
OPは動画サイトで見ましたが、あれだけでもう泣きそう。
実際に見られるのを気長に待ちます。
魚人島編は話を追いかけるのが大変ですが、それだけにいろいろと深く楽しめますね。
毎回深いコメントをどうもありがとうございます!


2011/05/06




623話 「海賊フィッシャー・タイガー」


今さらですが、ワンピースが大好きです。
毎週毎週泣いたり笑ったりわくわくしたり、そんなこんなで10と数年やってきました。
でも、読後にこれほど無力感を感じたのは初めてかもしれません。
感想書き始めて7年近くになりますが、どう書いていいか…私なんぞが何をどう書けるというのかと、 ここまで苦しく思ったのも初めてです。


思うことはいろいろあるのに、何も考えられない。
自分の許容量をオーバーしそうで、脳がストップかけちゃったんじゃないかと思います。
それほどに何も考えられない虚無感。
子供や若い人のほうが、尾田っちからのメッセージをしっかり受け止めてるかもしれませんね。
年取ってるせいか却ってすごく重く感じてしまう。
物を「知らない」ことはいけないときもあるけれど、でもそれ故にとても強くなれるときがある。
そんな気がします。
でも頑張る。
どうせあれこれ書きなぐります、ご容赦ください。


USJプレミアショーのお知らせで元気が出ました。
今年も行く、ぜぇったい行く!!
去年2回行ったから、今年は3回は行きたいなぁ…。
何故かあの空間がたまらないのです。もう何度だって味わいたい。
アニメでも漫画でもなく人が演じているのに、そこがホントにワンピ世界になっちゃうなんて最初は信じられませんでしたが。(苦笑)
質の高さは間違いなく保証します。特にサンジがたまりませんよ〜。
あーっと…ゾロはね、うんゾロは…。
娘が今週の写真を見ながら「うわーなんかゾロ可哀相やなぁ…」と呟いてました。それに反論できないのがすっごく悔しい…ちっ。
役者さんはしっかり演じてくれてると思うのですが…。
ああそうか、元がよすぎるからか。(勝手な結論付けでまとめる)


扉絵。
たまねぎたち3人に続いて同じくシロップ村から医学生・カヤ。
やっぱり綺麗になりましたねぇ…。ファンかストーカーか、ヘンな男たちが群がっていますが、 メリーさんがいてくれるから大丈夫でしょう。
詰まれた本の間には折りたたまれた新聞。 もちろん麦わらの一味復活の記事です。
でね、たぶんちゃんとウソップ中心に折りたたんでくれてるの。それが嬉しい。
ウソップ、ちゃんと手紙かいてるかー?


本編。
何を書けるかわかりませんが。
コアラの村へのエターナルポースを手に入れたタイヨウの海賊団。
何から何までびっくりなんですが、何も頼まれたからって律儀に守る義理は無いんですよ。
途中で海に投げ込んじゃったっていいし(おい)、どっかに置き去りにしてもいい。 連れてくにしても、無茶苦茶ひどい扱いしたっていいんです、言ってしまえばたかだか人間の子供一人。
でもエターナルポース探して(手に入れるの大変なんじゃ…)、服も買ってやって、散髪してやって、 まだ奴隷時代の恐怖に脅える彼女のトラウマも気遣って。
気のいいはっちゃんなんて普通に遊んでましたから。
やだなぁ…こんなエピソード…。
この海賊団の先を知っているだけに、読んでてつらい…。


もちろんアーロンは違います。
彼は心底、そして例外なく人間を嫌っています。
タイガーがいるので、さすがに目の前で殴ったり蹴ったりはしませんが、幼かろうがコアラに容赦ない言葉を浴びせます。


人間の社会は人間という種族が一番素晴らしいと思い込んでいる
子はそれを見て育ち、つけあがる。誰かがぶっ潰してやらないとこの流れは止まらない。
人間達がおれたちを蔑む生意気なあの目を散々見てきた。


こんなことずっと奴隷だったコアラに言っても仕方ないと思うのですが、これがアーロンの悲しいほどの器量の狭さなんでしょう。
アーロンの賛同者はもちろんいるでしょうが、大半のメンバーは、コアラを人間としてではなく、コアラという一人の個として見、 それで受け入れてるように思うのです。
この小さな子の存在によって、皆は人間との関わりを無意識にでも考えるようになったかもしれません。
ジンベエもそうでしょう。
「蔑むのは一部の人間、他は違って見えたがのぅ」
急進的なアーロンを諭します。
「わしにはみな…いつも脅えておるように見える」
そして何をそんなに脅えるのかとコアラに問います。


「だって、何も知らないから…」


にこにこと笑うコアラの顔は最初のときの笑っていないと殺されるという脅えの顔。


ジンベエは思い出すのです、
「私たちはまだ彼らのことを何も知らない!」
だから知ろう、と呼びかけていたオトヒメの言葉を。


このコアラの言葉はすっごく深い。
正直、種族の違いなんてそう簡単に受け入れられるもんじゃありません。
クラスに魚人のジンベエくんがいたらちょっと戸惑います。
先生から仲良くしてね、なんていわれても、最初は話なんてできなくて遠巻きにしちゃうでしょう。
でもジンベエくんが、顔は怖いけど意外に面倒見いいとか、さりげなく机運ぶの手伝ってくれたとか、 購買のパンがなかなか買えなくて困ってたとか、そういう面を知るに連れて、だんだん打ち解けていくんじゃないかな。 (なんだろう、この妄想の数々は…。ジンベエくん学パラ??)


要はそういうことなんです。
お互い避けあっていたら、わかりあえるはずないんですよね。
まぁルフィたちはそんなの一気に飛び越えて仲良くしちゃったりするんですが(笑)、一般人にはまず無理な話です。
オトヒメ王妃は、すぐに仲良くしようと言ってはいません。
彼女の目指すものは、 お互いまず、知ること。
そのために一緒の世界に暮らそうということです。
なるほどなぁ…。


ジンベエにはまだ引きつってしか笑わないコアラも、はっちゃんにはあはははなんて子供らしく笑います。
たぶん一緒に過ごす時間が長いからです。
そうやって少しずつ少しずつ、タイヨウの海賊団に馴染んでいくコアラ…誰の前でも自然に笑うようになりました。
…だからこういうエピソードはやめてって…(泣)


数週間後、船はフールシャウト島に着きました。コアラの故郷です。
フールシャウト…愚者の叫び?
村の入り口まで、船長自らが送っていきます。
皆で行かないのは魚人だから、ですね。 泣いて別れを惜しみ、でも元気でなーと手を振ってくれる魚人たち。
「あたし村のみんなに言うよ!魚人にはいい人たちがたくさんいるって!!」


先を歩くタイガーに駆けて追いつき、ぎゅっと手を繋いでは押しやられるコアラ、
悲劇が近づいている、それがわかるだけに、こういう1シーンすら胸に来ます。
「大人になる頃にゃ、あのガキも他と同じになる」
アーロンは主張します。
村で一人、魚人はいい奴だと主張し続ける意味があるか。
オトヒメのように声は空しく吹き抜けるだけだ、と。


前回拍手コメントからいただいたのですが(引用すみません)
『タイガーがコアラの烙印を消すためにタイヨウの海賊団の焼印を施した、ということは、 彼女は人間で唯一タイヨウの海賊団の印を持つ者、ということになりますね。
人間でただ一人タイヨウの海賊団の焼印を持っている、ということは、今後重要な意味を持ってくるんじゃないかと思うんですよ』
そのことは全く気付いてなかったので、深く頷かせていただきました。


唯一タイヨウの海賊団のマークを背負った彼女は、今後どう生きていくのでしょうか。
差別…あるかもしれませんね。 ひょっとしたら奴隷の焼印以上に。
それに屈してタイガーたちとの出会いを恨むような人間になるでしょうか。
希望も交えてですけど、絶対そんなものには負けませんよね。
だってコアラをちゃんと笑って泣ける人間にしてくれたのは彼らなんだもの。
何か重要な局面でキーパーソンとして出てきてくれるかな。
ジンベエやはっちゃんと笑って再会できたらいい。
そんなシーンがあったら私泣きます、絶対号泣。


さて、無事にコアラを送り、母親と再会したのを見届けたタイガー。
村人達の視線は感じながらも、大きく手を振るコアラにやっぱり何度も振り返し去っていきます。
そして。
タイガーは待ち伏せていた海軍少将たちに取り囲まれます。
「君たちがこの島へやってくることは「ある島」の者から通報を受けている」
なに、この思わせぶりな「ある島」って。
コアラを預かった人たちか。
はたまた大穴で魚人島とかね。ほら、いろんな勢力がありそうじゃないですか。


「罪名は二つある、『襲撃』と…『逃亡』」


私、ここをさらっと読み流していました。
だってマリージョアを襲撃して、それから逃亡した、そういうことでしょ?って。
何発も銃撃をくらい、血を流しながらも強い生命力で倒れないタイガー。
一方、船の方も海軍の襲撃を受けます。
自船を捨てて海軍から奪い、瀕死のタイガーを救い出しました。


この騒ぎを遠く聞き、
「何か聞こえない?お母ちゃん」と無邪気に問うコアラと「いいえ」と暗く首を振る母。
またコアラには知らないことが出来てしまいました…。


脱出できたタイヨウの海賊団ですが、血を流しすぎたタイガーは命が危ないのです。
でもサンジくんと同じパターンで、珍しい血液型のタイガーには誰も輸血できません。
海軍船にストックされていた血液がありましたが、それをタイガーは激しく拒むのです。
「汚らわしい血だ!おれ達魚人族を蔑み続けた血だ!
恩など受けない!!情けなど受けない!!おれは人間に屈しない!!」
あのアーロンが疑問に思うほどの激しさです。


瀕死のタイガーはそこで、自分がマリージョアを襲撃する前の旅で人間に捕まり、奴隷になっていたことを明かします。
「おれは…奴隷だった!!」
ああ、だから「逃亡」の罪だったのか…と思い至ります。
同じ魚人、それも気を許せる昔からの仲間たちにすら打ち明けられない奴隷だったという事実は、 どれだけその人の尊厳を打ち砕いたんでしょう。
打ち明けたって、仲間たちはタイガーを受け入れるに違いないです。
それはタイガー自身も分かってると思うんです。
でも、できないんですね。
それほどに自身の否定が、身に染み付いてしまったんですね。
それは蛇姫も同じだと思います。
だから自分を余計強く見せようとしていた。まぁ彼女は幸せなことにそんなのちーっとも気にしないルフィと出会っちゃいましたけど(笑)。


だからタイガーは奴隷解放という行動にでました。
そこで種族関係なく解放したのは、タイガーの性質によるものかと思っていましたが、彼自身が奴隷だったからなんですね。
ある意味「奴隷」という一つの種族(世間からはそういう目で見られてしまうのですから)、 タイガーはその全てを救いたかったんでしょう。


「おれは思うままに生き、結果、オトヒメ王妃を邪魔しちまったが
あの人は…正しい。誰でも平和がいいに決まってる」


分かってるんです。
タイガーだって、オトヒメ王妃の理想を望んでいた。
でも…、なんです。それが悲劇なんです。


タイガーは、何も知らない「次の世代」に島を変えることを託しました。
だから皆に「島には何も伝えるな」といいます。
「おれたちにおきた悲劇を!人間達への怒りを!」


タイガー自身は優しい人間達もいっぱいいるとわかっていても、心の「鬼」が、体が人間を拒絶する。
「おれはもう…人間を愛せねェ!!」

生きることを捨てても人間を拒絶するしかなかった。
知っている、でも受け入れられない。
タイガーの中にある矛盾というか葛藤というか、それにどう言葉をつけたらいいのでしょう。
私にはできません…。


「解放してもらった奴隷たち全てにとってあんたは『一生の大恩人』、偉業を成し遂げた『魚人島の英雄』なんだよ!」
その言葉に嬉しいねェと笑いながら、タイガーは生を終えました。
最後のページで、復讐のため一人フールシャウト島に戻ったアーロンが黄猿に捕まっています。(まぁ敵うわけないな)
「わっしと来てもらうよォ〜」
ちょっと待て、黄猿!あんた何を企んでいるんだぁぁぁ!!!


タイガーについては何も書けないので、ただこのままそっと受け止めていようと思います。
でも、どうも後半から嫌な感じがしてなりません。
ある島からの通報もだし、あと供血。
あれ?と思ったんですが、ハモンドが言ってたのと随分違いません?
「人間と同じ血が流れてるんだ、人間の血は使える!」
これを言ったのは船医さんかな。とにかく魚人自らが普通に同じ血、とか言ってます。
ハモンドはたしか、「魚人島には人間に血を分かつ事を禁じた古くからの法律がある、最もそれは人間側が先に決めたもので、 それによってタイガーも救える命を落とした」とか言ってませんでしたか?
古くからの法律???
なんかおかしいなー。 それにタイガーは自分から拒絶したのに。
仲間たちはタイガーの言いつけを守ったと思います。
だから何も知らせなかった。
で、それを上手く利用してホーディたちを煽り、なんかやらかしてる連中がいるんですね。
それが「人間を嫌う者達」とか「闇夜の裁き」云々…もしかしたらオトヒメ王妃の暗殺とかとも関係してくるのかも。
ホーディたちは、それこそタイガーの望む何も知らない世代ですが、逆に 間違った情報を入れられ操作されてるんでしょうか。
デッケンはどうだか知らないけど。


だってホントにおかしいよ。
魚人島はタイガーやオトヒメ王妃のおかげで、もう少しなんとかなってるはずなのに、今は悪いほうにしか進んでない。
何かが邪魔してるとしか思えません。
黄猿もなんかしてるんじゃないかなーと思う。
そんなこともあってジンベエがアーロンをイーストブルーに放つしかなくなったんだろうけど、結果ココヤシ村の人はあんなに苦しんだわけで、 まぁ先走った予想でアレコレ言うのもなんですが、そうなると海軍の正義って一体何なんだよーと今さらながらの疑問にまたぶつかるのでした。


今週も長々失礼しました…全然語れてないくせにねぇ…。



拍手ありがとうございました!
5月6、8、9日の各日いただきました。
更新が遅かったにも関わらず、覗いてくださってありがとうございます。いつも励まされております。
重いですね。辛いですね。
でもこんな黒い雲も、ルフィがみーんなふっ飛ばしてくれるんですv
そのときを楽しみに読み進めましょうv


◆8日23時の方
いつもありがとうございます。
誤字などはどうかお気になさらずに。当感想すら誤字脱字のオンパレード、とんちんかんな内容すら時々知らん顔で修正したりしてますので♪(おい)

『ホーディ達も言ってることは物騒過ぎますが、この段階ではまだ、世間知らずのガキの戯言のレベルですね。 反抗期まっただ中で、暴力的なもの、悪いものに憧れてるだけ、といった印象を受けました。問題は、このまんま大人になったってことですね』
仰るとおり、普通はまともな周囲の大人達が止めたりするんでしょうが、そんな相手もいないままに、 元々の暴力性だけを誰かにいいように動かされてる気がしてきました。
ん?反抗期って、そういえばホーディっていくつでしたっけ。
もう20代後半でしたか?そろそろ大人になってなきゃなんですが、いつまでツッパリハイスクールロックンロールやってるんだか。(古い例えをお許しください)

『タイガーは基本的には人間嫌いだと思いましたが、 今回の話で、嫌いどころか、憎んでいるといってもいいくらいの悪感情を持っているのではないか、と思いました。  鬼、というのは人間への憎悪や怨嗟といった負の念で、それをどうにか理性と矜持で抑えているのではないかな、と』
嫌いとか憎んでるとかってレベルじゃないほどでしたね…。
心の底からの拒絶。
ホントに、奴らの同じになりたくないって一心から「鬼」を抑えていたと思うのですが、 コアラへの態度を見ていると根は面倒見のいい優しい人なんだろうとも思えてなりません。
それだけにその葛藤が自分でもとても苦しかったのではないかと。
深い考察を独占するのがもったいなく、いつも勝手に引用してしまってすみません。差し障りあったらご連絡くださいね。


2011/05/10




624話 「オトヒメ王妃」


扉絵はヨサクとジョニーの兄弟船。鳥羽I郎さんですか。
旗の文字から推察するに、 あのままココヤシ村にいついるようですね(笑)。
まだ賞金稼ぎをしてるのかな?ただこの絵を見た限りでは完全に職業・漁師。


本編。
重い展開が続いています。
主人公のルフィを始め、麦わらの一味すら出なくなって何週間だろう?(4週です)
ノーランドやトムさんの過去話も長かったですが、2年間のオアズケ食らった後なので余計彼らの不在が身に染みます。
思うんだけど、こういう展開って子供やわりと浅めのファンにはつまらないことこの上ないはず。
頂上決戦やストロングワールドの盛り上がりもあってワンピが世間的に浸透した現在、それなのに せっかくついたファンが離れるかもしれないとか守りに入らず、 こうやって描きたいもの、伝えたいものをしっかり描ききろうという尾田っちの初期から変わらない姿勢はすごいなぁと思います。
だから今でも大好きで 大好きでたまらないって人たちがたくさんいるんでしょう。
ここまできたら尾田っちがゴールテープを切る瞬間までしっかりお付き合いするつもりです、はい。
娘の「もうゾロ溺れてるんちゃう?」という薄ら笑いは非常に堪えますけども。(あああ、早くなんとかしてくださぁぁい)


さて、フィッシャー・タイガーの死、その後です。
アーロンは黄猿に捕まり投獄されました。
ここでアーロンが「タイガーは人間に供血を拒否されて死んだ」と 語ったことが新聞記事として世に出て、広く皆の知ることになったのですね。
まぁ「人間が原因」に違いは無いですが、これはウソです。
ジンベエもアラディン(元奴隷の船医、人間に対しても理性的な態度を保てるのはジンベエに近いです)も事実を知っています。
けれど、 タイガーが人間に裏切られ人間への恨みで血を拒んだこと、しかも元奴隷だったこと。
事実はタイガーの名誉を傷つけるだけで(そこはアーロンの気持ちがわかるのではないかと)、ウソを正すことにあまり意味はありません。
「真実はもっと無残だ」
そのとおりです。
そしてタイヨウの海賊団はジンベエを船長に戦いを続けるのでした。
もう事態は誰にも止められないですから。


ただ、 竜宮城の王と王妃の下だけには、ジンベエから真実を知らせる手紙が届いていました。
決意を伝えに来たあの日のタイガーの心の叫びの意味を知り、改めて自らも決意を新たにする王妃なのでした。


でもね、彼女にもじわじわと悲劇が近づいています。
オトヒメ王妃の行動は変わりません。
演説し、署名を求め、難破船の人命救助をし(それこそ普通に人間を救ってます)、子供達へ地上を伝え、そして 疲れた心身を子供たちに癒されています。
このときしらほし4歳。今ほどじゃないけど結構巨大。お母様の5倍はありそうです。
次男三男は変わらずにこにこふわふわしてますが、長男フカボシはちょっと険しい顔になってきましたね。
母の大変さがわかる年齢になってきたんでしょう。


タイガーへの供血拒否はアーロンの言葉です。
でも世間的、そして魚人島の人にとっては
「あらゆる種族の奴隷たちを差別なく助けたタイガーさんを、人間達は見捨てた」
これが事実です。そして全てです。
オトヒメが今まで5年以上かけて集めてきた約1000人分の署名。
それでも魚人島の人口からみたらほんのわずかですけどね。人口5百万人て…結構います。
で、その僅かの協力者たちも、署名を取り消したいとやってきます。
地上の話を聞いてくれた子供達も「母ちゃんが…」と署名を取り下げ。
ああ…タイガーの死ぬ間際の望みはなんだったんだろう。
何のために「島へは何も伝えるな」と言い残したんだろう。
次の何も知らない世代へ、悲劇や恨みや怒りを残さないためじゃなかったのか。
そう望んだタイガーの死が、余計恨みや怒りを子供達に伝えてるって皮肉過ぎて胸が痛い。


署名は空になりました。
さすがに王妃も一人部屋で号泣します。
ここで、あれ?と気付いたのが、王様の態度。
聞こえてくる王妃の泣き声につらそうなんだけど、そういえばネプチューン王って移住云々はあまり積極的じゃないのかな。
この演説も署名も王妃が一人で走り回ってます。
もちろん王様は反対も邪魔もしてないけど、といって表立って協力してる素振りも無いですね。
王様はどうしたいんですかね。
そりゃ魚人島の長として島民の気持ちを考えたら大声で言えるものでもないけど、 その前に一人の夫としてどうなんだ?
いや、王様のことだ、きっとちゃんと裏で気持ちを支えてあげてるに違いない。うん。(偉そう)


怒りと悲しみの王妃、
見聞色で人の心がわかるならホントにつらいと思いますが、 ヤケにもなった酔いの演説(てか吐露)が島に響き渡ります。
「水中だけでも生きていける私たちがこの場所だけを選んで住んでいるのは何故?
小さな『光』と『空気』があるからではないですか!?」
確かに。
なんでわざわざ空気のある生活をしてるのか。


「行ってはいけない場所なんてあるはずないのに!!
大人びた理由をつけて自分を納得させ、諦めてるだけじゃありませんか!?
勇気を出して一番欲しいものを欲してください!!
その障害が『人間』ならみんなでぶつかりましょうよ!
そうすれば、魚人島の子供達の生きる未来が、少しだけ変わるかもしれない…!」
涙の演説に、島民は何を思ったでしょうか。


やはり大人たちに責任があるのかなぁ…。
大人は大きな変革を望みません。
どうせ先行きは限られてるし短いし。
苦労してすっごく辛い思いするなら、今ちょっとだけ辛い思いしてそこそこに暮らしてるほうがずっと楽だもん。
もういいじゃん、子供にもそうさせておけば。
それってすっごくよくわかります。ええ、私もすぐ言い訳つけたがる大人なんで。
タイガーの死は彼らにとってとてもいい言い訳材料になりました。
あのタイガーさんを見殺しにした人間と理解できない=このままでいいじゃん、とね。
それをできない、真剣に未来を考えるオトヒメ王妃のような人が苦しむって本当に辛いことです。


さて、ジンベエに王下七武海のお誘いがきました。
何かと厄介なジンベエを懐柔しとこうって腹です。
懸賞金2億5千万…これをあの歳で越えてるルフィってすごい!!(そこか)
ジンベエはこの話を受けました。
元奴隷や海賊をしたくない者達を追われる事なく魚人島で暮らさせるために。
魚人族と世界政府を少しでも近づけるために。
この辺りジンベエものすごく考えが成長(?)しています。
人間的にもまるくなってるような。
元々こういうタイプなんでしょうが、コアラとの出会いが彼を大きく変えたのかもしれません。
城で王にそう語るのをうっすら笑って聞いてるホーディ(当時は城の兵士)が怖いよー。
アーロンのことでも期待してるのか。


恩赦により、アーロンは釈放されました。
けれど政府の『人間』の狗になるジンベエを許すはずありません。
「タイのアニキの言葉を忘れたか、恨みや怒りに生きるのはよせ!」という ジンベエの言葉も届きません。
彼はアーロン一味として袂を分かちます。


「おれこそが魚人族の『怒り』だ!!」
タイガーの怒りだけを彼は引き継いだんですね。
それこそタイガーが自分でも恐れていた「鬼」。
それだけを押し出すとこうなってしまうことをタイガーはよく知っていたんでしょう。
アーロンのどうしようもないところは、怒り以外何も見ようとしない、知ろうともしない、わかろうともしない。
他の者は人間の醜さも知りながら、でもそういう者だけではない、とわかろうとしていた。 (「頭ではわかるんだけど」ってレベルだったとしても)
彼の世界は極端に狭くて、それがたくさんの悲劇を呼んだのです。アーロン自身にもね。


「どうしても止めたきゃ、今ここでおれを殺せ。できねェんならおれは自由だ」
アーロンを殴りつけながら、結局殺せなかったジンベエ。
タイガーの真意を理解できないアーロンに悔しいばかりです。


アラディン「世界中どこに行こうが、暴挙を働けば海軍が動く!
さもなくばもしものときはおれ達の手で止めに行こう、必ず!」


イーストブルーでの暴挙に海軍は動かず、ジンベエたちも止めることはできませんでした。
止めたのは若い4人の海賊たち。
…なるほど、ジンベエがルフィに計り知れない恩義を抱くのは当然でしたね。
そして、 タイヨウの海賊団はアーロン一味、マクロ一味、と3つに分裂。それぞれを道を歩き始めるのでした。


一方魚人島に巨大難破船が救助を求めやってきました。
そこには「天竜人」が乗っています。
でた。 悪魔のキーワード。
さすがに読んでるこちらもヒきぎみです。
けれど、オトヒメは躊躇いもなく救助に走り出しました。
そんな悲劇の予感をぷんぷんさせたとこで、今週はおしまい。


天竜人にとっては、魚人も人魚ももう差別とか嫌悪の対象じゃない、ただのサカナ。
「タコがタ〜ダ〜」てなもんです。あーこのセリフ、思い出してもホント嫌。
思いも通じるはずありません。
それがわかりきってるから、来週はさらに読むのが辛いです。
あんな頑張ってるオトヒメを悲しみのうちに死なせたくない。少しは救い…あったのかなぁ…(あまり期待は持てないですね)。


このモヤモヤとしたどうしようもない気持ち、
大きな力に阻まれていくら歯噛みしても何も変えられないもどかしさ、
そんなアレコレをルフィたちが全部すっこーんとふっ飛ばしてくれますように。
何回も書いてるかもしれませんが、それだけ切実に祈ってると、そういうことで。 魚人島を滅ぼしたっていい。
それがやがては皆に笑顔をもたらすのだとしたら、結果オーライだもの。
まぁ今までほとんど結果オーライですけどね(笑)。
そういえば、黄猿。
先週のラストを読んで、アーロンのこととかいろいろ画策したのかと思ったんだけど何もしてなかったんですね…。
ある意味期待はずれだな、ちっ。



拍手ありがとうございました!
5月10、11、12、13、14、15日の各日いただきました。
ぽちっと一手間ありがとうございます。
こういった真面目な展開は話的に面白いですが、暴れたりない気もします(笑)。 時折ゾロー!と叫んで転げまわりたい衝動に駆られますが、 何もないとこで張っちゃけるのもあまりにゾロ馬鹿すぎるので(今さらか) とりあえず我慢します。
今はおとなしく成り行きを見守っていたいと思います。大人だなぁ〜ふふ。(自分で言う)


◆15日22時の方。
いつもありがとうございます!
本当に。過去話が重いのは今に始まったことでもないですが、それにしても魚人だ奴隷だという問題が絡むだけに辛いです。
原作を読んで「辛い」という感想を抱くのは、ワンピースならではでしょうね。


> 「問題は魚人や人魚を差別する連中が、強い権力を持っている特権階級だったり、魚人島で掠奪や誘拐を働く海賊だったりすることなんですね」


考えてみれば、こういう貴族だ海賊だ、って「知ろうともしない」連中がどんどん差別を助長して、 一般の人たちはそれに対抗できるほど「知らない」。 それが問題なんじゃないかと思いました。
知らないから魚人の形態や凶暴性だけを恐れ、自分とは違うものと思ってしまう。差別も仕方ないと見逃してしまう。
そして一番悪いのは、知らなくてもいいんだと慣れてしまう。これは魚人島の大人たちも同じですが。
そうやって続いてきた今までの慣習を、常識外れの麦わらをかぶった海賊(誰)が全部ぶっつぶしてくれたらいいのにね。


> 「もしかしたら革命軍が援軍でくるかも、と予想していたのですが、今回のことでコアラが革命軍の戦士として、助けに来るかも、と思いました。(略) タイガーが最後に心を許した少女、多分ジンベエにも少なからず影響を与えたに違いない少女がルフィ達に加勢してきたら、 魚人島の危機を救うためにやってきたとしたら、それこそが、タイガーの無念を晴らすことになるんじゃないか、と思うんですよ」


なるほど、革命軍。
きっとこれからの展開で革命軍はますますクローズアップされると思うんですが(サボも関わりありそうですし)、 そこに彼女がいたらまた繋がっていきますね。
魚人への差別=今の社会の仕組みの中での典型的な悪習、と思います。
革命軍が今の社会をひっくり返そうとしているなら、ぜひ魚人島へ、ですね。
コアラにはジンベエと再会してほしいです。はっちゃんにも。
そして昔みたいに心を許しあって笑いあえばいい。
普通に笑いあってどつきあって、そんな姿をオトヒメのお墓の前でぜひともみせてあげてほしいものです。(あ、ルフィがもうやってるか/笑)



2011/05/17




625話 「受け継がない意志」


扉絵は待ってました(笑)のゼフ。
なーんていうかさぁ、クソジジイのこの嬉しそうな顔だけでおなかいっぱいですよ。
ここは余計な言葉なんて要りませんよね、ただ一言。
ごちそうさまv
バラティエは改装中なんですね。しばらくぶりにサンジが帰った時、一体どんな風になっているやら、 そんなのを思うのもまた楽しいです。
ん、本店て書いてあるけど、じゃあ支店もあるの?
パティあたりがのれん分け?
…て書いたとこで気付いたんだけど、バラティエ支店てサンジのことだったりしてv


本編。
まずね、タイトルがちょっとばかりショッキングでした。
今までさんざん、受け継がれる意志だの人の夢は終わらないだのときかされてきていたのに、この言葉。
しかも受け継がれない、じゃなくて、受け継がない、ですからね。
はっきりと意志を持って、その意志を受け継いでいかないようにするという…。
展開的にそれが何のことか予想できるのがまた切ないです。


さて、魚人島に流れ着いた漂流船。
海底の生物に襲われたようです、クラーケンあたり?
そしてそこに乗っていたのが天竜人。
あああああ、この不吉なキーワード。どうしても想像が嫌なほうにしかいかない。
大怪我で倒れているミョスガルド聖…、チャルロス聖のインパクトには敵いませんが、なかなかどうして 彼も立派な天竜人でした。ふっ。


魚類共、魚人くさくてかなわん(おえぇっ)、
わちきの命を助けろバカ共め、
わちきが死んでしまうえ
こんなしょーもないセリフを抜き出して馬鹿か、私は。
でも彼の人柄を表すには一番適切だと思いますんで、書いておきましょう。
魚人の奴隷たちが島に戻ったと聞いて、自分の奴隷を取り戻すために はるばるやってきたわけです、この馬鹿め。
とりあえず助けようと思う者も、殺すべきだと思う者も、 一人暴言吐きまくって銃をぶっ放してる有様にただ遠巻きに見守るのみ。
そこに元・彼の奴隷だった魚人たちが取り囲み、銃を構えます。
天竜人を殺せば大罪ですが、ここは海底。海軍の力も届きません。
皆が黙っていればただの『海難事故』なんです。
それを聞いて見守ってた島民も皆、殺せ、苦しめて殺せの大合唱。
すごくわかります、私だって「大人として」そこにいたら(ここポイント)、 絶対合唱に加わっています。ある意味怖いことですけどね。
「許そうにも…お前だけはゆるすことができない…!」
この言葉と、銃を構える顔が嬉しそうではなくとても苦しそうなのが、 救いかもしれません。
誰だって人殺しなんてしたくないです、魚人の人たちは 基本的に優しいみたいだし。
だけどそれでも殺したいほど憎い…奴隷だって過去はそれほどに重いわけで。


発砲される銃。
けれど、それは天竜人をかばったオトヒメ王妃の腕を傷つけたのでした。
「みなさん、銃を捨ててください! 子供達が見てます…!!!」


ホントにこの魚人島編から涙腺のツボがわからないんですが、ここで 泣けてしまいました。
揺ぎ無い王妃の心の強さに。
そしてそれは魚人島の未来とそれを支える子供達のために あったんだなと改めて思い知って。
何故かばうのだと問われて王妃は答えます。
皆の心の叫びを理解しながらも
「その人間達への怒りを…!憎しみを…!子供達に植えつけないで!!
彼らはこれから出会い…!考えるのですから!!」


大人として、親として、これはすごくよくわかるのです。
子供ってのは何も知らず生まれてきます。
成長しながらその中で、いろいろな情報を取り入れ、 年齢に応じて頭で考え、そして自分の個を確立していくのです。
うちの娘らはもう中・高・大学生なんですが、最近つくづく思うのが、 親の影響力です。
彼女らの中にある、特に価値観かな、そういうものに自分のそれが 大きく根ざしてるようで怖くなります。
私自身は嫌な子供だったので、そして恥ずかしながら父は悪気なく差別的な発言をしちゃう 人だったので(女のくせにとかね)、 それがすごく嫌いでかなり反発してきました。
でもそれだって親の影響ってことで、要するに そのままだろうが逆だろうが、子供は親(大人)を見て育つのです。
人を殺すのがいけないのは誰だって知っています。
じゃあ死刑ってのはどうなんだ。いいのか、悪いのか。
子供によく聞かれました。
もちろん私には自分の答えがあります。 でもそれを子供には絶対伝えません。
だって母の私が言ったらそれが正解になっちゃうじゃないですか。
だからこういう意見がある、と世の中のいろんな情報は与えるけど、 結論は自分で出してもらっています。(娘らがどう考えてるか今度聞いてみよう)


余計な話で長くなりました。
要するに子供達に大人の意志を受け継がせるのではなく、 自分の目や耳、そして頭で判断させろと。(実際の問題にも置き換えられるような気がします…何とは言わないけど)
今思い出したけど、ジンベエがインペルダウンでエースからルフィを頼むと言われたときに、「あんたの言葉でもわしは自分の目で見て判断する」 みたいに言ってましたね。
これもそういうことなのかな。


末娘に言われたんですが、
「クラスのみんなになんでそんなにワンピースのこと知っとんねんて言われるんだけど、 あたしって生まれたときからうちにジャンプがあって、すっごい小さいとき(1歳です)から映画も行ってるんだよね」
14歳、連載開始とほぼ同じくらいに生まれた子供達。
そりゃ家族の誰かが好きじゃなけりゃそんなに読んでないですよね。
母の影響力の大きさ、ここに極まれり。ふっ。(オチをつけてどうする)


いい加減、話を戻せって。
王妃の言葉に、ジンベエはタイガーの最期を思い出します。
『島には何も伝えるな!』
それはまさしくタイガーの残した思いと同じでした。
彼ほど人間を憎み怒りを抱いていた人はいない、けれど同時に、 タイガーはそれを他の者(特に子供達)が決して受け継がないよう強く願っていたのです。

それなのに。
アーロンはあれだけタイガーを慕いながら、彼の真意とは逆に、虐げられた怒りのままに人間への復讐に走った。
そして何も知らなかったはずのホーディは、そんなアーロンの意志を継いだと自負して今に至る。
知らせなかったことがこうも裏目に出るとは。
アーロンが、ホーディが、憧れる英雄タイガー・フィッシャーの真の意志は一体どこに受け継がれたのか。
なんか悔しい。
彼ら自身が差別を受け虐げられてこういう行動に走ったのなら仕方ないです。
でも、特にホーディ。
違う情報が伝わったとはいえ、あたかもそれが正当であるかのようにタイガーやアーロンの名を出して、 魚人島の歴史を変えると、自分が英雄気取りなのがどうにも許せない。


まぁ人間の側の過ちも大きすぎると、馬鹿天竜人を見ると思い知らされるんですが。
意識を取り戻した天竜人は、やけになったか、オトヒメ王妃に銃を突きつけます。
その光景を兄たちと共に見ていたしらほし(6歳)が母の危機に大泣き。
その叫びに海は大揺れ。
巨大海王類の群れがやってきたのです。ひぃぃ。


それを目にしたバンダー・デッケンは、大喜び。
初代デッケンが追い求め海の底までやってきた、伝説の「海王類をも従わせる人魚姫」。
それこそがしらほしの持つ能力なのだと気付いたのです。
なるほどー、それでストーカーが始まったのか。
でも、まず姫の夫にならなければ、って理由がよくわかりません。
その能力を持つ血を自分の一族に入れたいということなのかな。
とにかく今まで散々ののしられてきたように、彼の性癖によるものではなかったんですね、 誤解が晴れてよかったなデッケン。(笑)
一応ガキんちょってことで躊躇ってたんで、ホッとしたよ、うん。


海王類を見て倒れた天竜人は、船医だったアラディンが治療しました。
元奴隷だった彼。天竜人を見る表情は複雑ですが、憎しみを越えて自ら治療を申し出たのです。
彼はタイガーの真意をちゃんと理解していましたから。
医師というスキルや元奴隷という過去。
アラディンが今どう過ごしているのか気になります。コアラと共に再登場熱烈希望。


数週間後、傷を治して地上行きの船に乗る天竜人。
覚えてろよ、と命を助けてもらいながらのこの言葉。馬鹿さ加減はとどまる所を知りません。
こういう人間がいるのがホントに情けない。
帰った後、絶対逆恨みの報復に来るつもりです。
不安げな島民たち。
そこへ
「お待ちください、まだお話があるようですね、ならば私が地上まで同行します」
王妃が名乗り出ました。
魚人&人魚を魚としか見てない相手と共に地上へなんてあまりに無謀です。
読んでるこちらは王妃のやがての運命を知っています。
ついにそのときが来たのかと心配で不安で悲しくてたまりません。
王は驚き、自分が行くと言うのですが
「強いあなたでは意味がない、人一倍体の弱い私が行って帰ってこられる世界でなければ地上の安全を証明することなどできません」
地上への移住を説いていた王妃です。ある意味今が最大のチャンスなのかもしれません。
確かにそうなんですが…。


ネプチューン王が王妃との件で自分の意志をはっきり述べたのは、これが初めてのように思います。
前回の感想で、一人の夫としてどうなんだ?とか偉そうに書いてますが、やはり立場上あまりおおっぴらに自分の意見を言うことは控えていたのかもしれません。
だって王が言ったら、それが「正解」になってしまいますものね。
だけどさすがにここで黙ってはいられませんでした。
カッコいいぞ、王様。(好き勝手言い放題)


「信じて。あなたの選んだ妻と人間を」
本当に強い人ですね。
心から皆の未来のために生きている。


王妃が戻るまで、待つ身にとって不安に押しつぶされそうな長い時間でした。
誰もが涙に濡れ、苦しみ、でも王妃を信じながら待ち続けます(ここでじっと待つしらほしのいじらしさがまた泣ける)。
そして一週間後、オトヒメ王妃が帰ってきました。
ナレーションによれば、横暴な天竜人をなだめ、さらに一枚の紙、魚人島の「希望」とも言える物を持ち帰ってきた、とのこと。


皆が彼女の無事を喜び、涙で迎えます。
人間との共存の件ではそっぽを向いたものの、王妃自身を嫌ったわけではありません。
彼女のまっすぐな気持ち、その優しさはちゃんと住民たちから愛されていたんですね。
ああよかった。
先週があまりに可哀相だったので、このシーンはホントに嬉しかった。
説得の通じた喜びか、オトヒメ王妃は清々しい笑顔で手を振ります。
胸に抱えている一枚の紙。
「歴史が動く」
とアオリにあったんですが、地上から受け取ってきた政府公認の移住の許可証みたいなもんでしょうか。
あー自分で書いててもうそ臭い。
これが更なる悲劇を呼ぶんだな…と薄々感じられてしまうのが哀しいです。
だいたい天竜人が絡んでる時点でもうアウトだよね…。




拍手ありがとうございました!
5月17、18、19、22、23、26日の各日いただきました。
毎度おなじみな拙い感想で申し訳ないのですが、いただく拍手が毎週大変励みになっております。
今は展開的に感想書こうと読み直すのが大変辛いです。
それでもオトヒメ王妃やタイガーが未来を信じたように、魚人島にやってきた新しい波(=ルフィたちねv)の 力を信じて先を楽しみに待ちたいと思います。



◆23日0時の方。
いつもありがとうございます。
ますますもって重苦しい展開で胸が痛いです。


『海軍、というか世界政府は人間と魚人が仲良くなるのを望んでないんじゃないでしょうか。
 (多分)魚人達が迫害され続けている歴史を知らない人達のほうが多いこととかを考えると、余計にそう思えてなりません。』

はい、今までの中で感じる限り、絶対望んでいませんよね。
前に書いたことがあるんですが、人間て自分より「下」の存在があると安心するものなのです。
オレも大概だが、あいつに比べたらまだマシだ… てな感じですね。
天竜人に見下されてる一般人たちの怒りや反抗心を、さらに下の存在を置くことで緩和してるんですよ、多分。
だから世界政府にとって(海軍てよりは政府かな)、人心を管理するのに奴隷として扱っても構わない魚人の存在はある意味貴重なのではないかと思います。


『けれど動くには時期が悪かった。変革を阻むものはあまりにも強すぎ、かえって望まぬ悲劇を呼んでしまった。
 2人の志半ばの死、アーロンやホーディの様な彼らの心を解しない者達による悲劇の拡大。
 でも、それらに終止符をうち、何らかの形で救済を齎すのがルフィでしょう。
 あまりにも問題が深刻過ぎて、どういう形で救われることになるのか、見当つきませんけど』

長い引用すみません。
真剣に、そして純粋に魚人島の行く末を案じていた王妃とタイガー、2人が共に悲しい死を迎えたことが今はただやりきれなく思えます。
自分の辛さを押し殺しても、魚人島の皆のためにあんなに一生懸命だったのに、それがアーロンやホーディ、 直接ではないのかもしれないけど(直接だったら蹴飛ばしてやる)デッケンたちによって、違う色に染められようとしてるのがすごく悔しい。
だいたいオトヒメ王妃の踏み絵ってなにさ。
彼女とタイガーに根ざす思いは同じだったことにも気がつかないホーディたちの若さというか愚かさに、歯噛みするばかりです。
でもまだ根が深そうですよね。
ホーディたちですら前座なのかもしれませんよ…あああ。



211/05/26




626話 「ネプチューン3兄弟」


やられた。
やられました、完全に。
読み返すそのたびに涙が止まらないなんて久々です。
この過去編、話が進むほど悲劇が待っていることは、わかっていました。
あ〜あ、また泣かされるんだろうな、とほどほどに覚悟はしていました。
でもまさかこの形で来られるとは。


先にジャンプを読んでいた次女と三女。
ただいまーと仕事から帰ったら、おかえりよりまず先に「あれはあかん!!」と返ってきました。
すでに二人してぼろぼろ泣いていたそうで。
次女が語ります。
「尾田っち、絶対読む年齢層考えてるわ。あんなん小学生が読んでも『ああ可哀相やな』だけど、お母さんくらいの年齢の人が読んだら絶対ぼろ泣きやで」
そういうあんたはいくつなんだ。(高3です)
三女は
「お母さんお友達(誰だ)にメールしてみ?絶対みんな泣いとるで」
母性のツボを敏感に察したか。
あ、思い出したらまた泣けてきた。


とりあえず進めましょう。
まず扉絵は先週の続き、バラティエ支店ですね。
なるほど、パティがデザートの支店を出しましたか♪
本店と連結してるのかな?
海中でデザート。これはぜひ行ってみたいものです。
ヘボイモ恐れ入りますとか言われようともv


それからジャンプの表紙。
アジサイの中の麦わら一味のかくれんぼv
ゾロが思ってた以上に保護色で驚きました。(笑)
今回はウソップが非常にカッコいいぞ!


本編。
デッケンの悪巧みから始まります。
とんでもない小悪党なんだけど、なぜだろう、この重い展開の中、あまりの小者っぷりにどっかホッとする(笑)。
デッケン一族の追い求めてきた宝、それがしらほしの夫になれば手に入る。
この辺りがよくわかりませんが、要は彼女の能力が欲しいってことですね。


すぐ結婚したいけど彼女はまだ小さい

じゃあ竜宮城にある玉手箱を使おう

でも竜宮城は侵入不可能

しらほしと結婚しちゃえば竜宮城も出入り自由

じゃあ結婚しちゃえ


この無限ループな彼らの思考が全く理解できません。
ともあれこれでデッケンのストーカー行為が始まり、以来しらほしは10年の歳月を閉じ込められて過ごすことになったわけです。


一方地上から戻った王妃。
その手にある紙には
「魚人族と人間の交友のため、提出された署名の意見に私も賛同する」
天竜人の言葉がありました。
天竜人の後押しがあれば移住は可能だと王妃は言いますが、それは素直に受け取れません。
だって天竜人ですよ、彼らをサカナとしか見てない馬鹿ばっかりですよ。
どうせ「提出された署名の意見」という曖昧な書き方の隙をついて、魚人たちを追い詰める算段をしてるに決まってる。
この予想は当たらなくても遠くない…ハズ。(デッケンか)
それをまっすぐに受け止めている魚人たちの純粋さが哀しく、 いっそアーロンのような連中に止めてくれよと思ってみたり。
後ろ向きですみません。オトヒメ王妃の勇気に対し恥ずかしい限りです。
王妃はもう一度皆に呼びかけます。
より多くの署名を、と。


一枚、また一枚。
箱が足りなくなるほど集まってくる署名。
「オトヒメ様!この国に何人人口いると思ってるんですか」


……すみません、このセリフでもう泣いてます。


7年にわたる王妃の苦労はこの日やっと実を結びました。
何より国民達はオトヒメという人物だ好きだったのです。
彼女の嬉し涙にまた涙を誘われますが、だからこそこの先の悲劇との落差が大きすぎる。
そうです、まるでエースを救い出した後の急展開のように。
あげといて落とす…くそぅ(涙)。


王妃は兄達3人と話します。
先日海王類を呼んだしらほしは、王家に伝わる伝説の人魚姫でした。
数百年に一人、海王類とも心を通じ合わせられる人魚が誕生する。
その人魚…つまりしらほしの元には、いつかその力を正しく導く者が現れ、そのとき世界には大きな変化が訪れる。


えっ、これってルフィのこと!!!???
微妙にシルエットが違う気もするけど、でもルフィらしい大きな心根で絶対しらほしをまっすぐな道に連れて行ってくれるような気がするんです。導くってことは しないだろうけど(笑)。
まぁ今も実際、連れてってるし。あ、正確には連れ出して、か(笑)。
今までがそうだったように、ルフィとその仲間たちが、この閉鎖された魚人島を変えてくれるでしょう。
それもきっといい方向に。
ルフィたちなら、こんな哀しい思いを味わった皆を、最後には絶対絶対笑顔にしてくれる。
そう信じてるから、この辛い展開もなんとか読んでいられるのです。


しらほしの力は諸刃です。
幾千もの命を救える愛の力であると同時に、この世を海に沈められるほどの怖さを併せ持っています。
しかもまだ幼い彼女は、自分で気付いてないしコントロールもできない。
だからもし前以上のショックを受けたら、無意識に海王類を大暴走させてしまうとオトヒメは予想していました。
「だからいつの日か立派な戦士に成長し、兄として戦士として妹を命を賭けて守って欲しい」
母として、王妃として、彼女は3人の息子達に託します。
はいっと力強く答える3兄弟。
マンボシ兄様が、いやん、マジに可愛いんですけどvvv


そして、その日がきました。
悲劇は予想なんて飛び越えて、何の前触れもなくやってきます。
突然燃え上がる署名の紙。
早く消そうと誰もが大騒ぎの中、兵士達すら気を取られている隙に(おいおいおい)王妃が撃たれます。
胸を血に染め、倒れる王妃。
騒然とする中、さりげなーくしらほし姫にタッチするデッケン。(この野郎)


激しく怒るフカボシを王妃が止めます。
苦しい息の下、治療すらも断りました。
体の弱い彼女は自分の命の限界がわかったのでしょう。
だから残された時間を、全て子供達のために使いたかった。
大事なことを言い残していくために。


そんな怖い顔しないで
悔しいのは私です
だから犯人がどこの誰であれ、私のために怒らないで
私のために怒りや憎しみに取り込まれないで


それはずっと王妃の信念でもありましたね。
子供達に自分たちの怒りや憎しみを伝えない。
喜びから突き落とされ、悔しいはずのこのときですら、王妃は信念を曲げません。
そしてそれはちゃんと3兄弟に伝わっていました。


母の姿に動揺し、号泣しようとするしらほし。だって6歳だもの。
空気がびりびりと震えます。
そのとき、しらほしィ、と呼ぶ声。


アッカマン〜ボ 何でもなぃっ、ダンスはたーのしっいーな〜
なんでもないぞ 歌おう しらほーし〜〜
おれたちが〜3人 いつで〜もついてラシド〜


これは耐えられなかった。
もう、涙ぼろぼろの号泣。
だってマンボシ、リュウボシ二人して、思いっきり笑いながら歌ってダンスしてるんです。
自分達もぼろぼろ泣きながら、でも笑ってるんです。


母上、見てみて、大丈夫
わたしたちこうやってずっと妹のこと守っていくラシド〜


自分達だってせいぜい10歳かそこらですよ、よくて中学生程度。
大好きな母上が今にも死にそうで、どんだけ悲しく動揺していることか。
それなのに笑うの。笑って歌って踊るの。
誰も理解できなくて皆王子たちを止めるのがまた切ないんだけど、 でも母上にはちゃんと伝わったからそれでいいんです。
二人は頑張りました。
母上が安心できるように、笑って逝けるように。


初登場からずっと、長男に比べはっちゃけた次男三男だと思っていました。
実際そのとおりです。
昔からああやってずっと二人は歌って踊って笑っていたんですね。
妹のために。そして母上との約束とのために。
それでいながら最強の戦士と呼ばれるまでになったんだから、どれだけ頑張ったのか。
頼りなく思っててごめんね。
あなた方は最高の兄で息子で戦士だよv


怒りに鬼の形相だったフカボシもまた。
燃えた署名はまた集めます
我ら3人、父上のような大戦士になり、約束どおりしらほしを命がけで守ります
だからどうかご安心を!


そして王妃に向かってニカと笑うの。
長男フカボシ兄様は下2人より不器用ですね。
まっすぐすぎてあんなふうな楽しませ方はできない。
彼の純粋な心の中は怒りでぐっちゃぐちゃでしょう。
だけど笑うの。
涙ボロボロこぼしながら、でも、大好きな母上にちゃんと笑ってみせるのです。
(ご想像通り、読みながらこちらもぼろぼろ…)


「もう一息よ、タイヨウの下まで…」
そして重なる5つの小指。
母と子の心は誰よりも通じ合っています。
それが暴力によってあっさり引き裂かれるこの理不尽に感じるのは、怒りであり悲しみ。
けれど、同時にそれに負けない母子の強さも感じました。
母は最後まで魚人島と子供達の未来を思い、子供達はそんな母の心を受け止めた。
変革を望まない「誰か」(誰だ)が、凶行に走ったんでしょうけど、王妃の心を繋いだ王子たちがいる限り、 彼らは負けない、と思います。
タイガーの意志は受け継がれず(受け継がない、というのをある意味受け継いでいるんですが)、オトヒメ王妃の意志は受け継がれる。
どんな形であれ懸命に生きた二人のために、どうか魚人島が平和なときを迎えますように。


今週は読み終わるなり、どうか皆が幸せになってくれますようにと祈らずにいられませんでした。
みんな、特に3人の王子としらほし姫が幸せになってくれますように。


そんな殊勝な私の横で、「でもゾロはもう溺れ死んでそうやけどな(ぷっ)」と含み笑いをした三女。
そして親子喧嘩…。
毎週書いてますが、ホントに毎週同じことを繰り返してるんです。この馬鹿親子は。
少しはあちらの親子を見習うべきだと思います。はい。



拍手ありがとうございました!
5月23、26、29、30日の各日いただきました。
お忙しい中お越しくださってありがとうございます。
非常に辛く悲しい過去編ですが、闇はきっとルフィたちが吹き飛ばしてくれるんです。
ゾロだって溺れながらも頑張ってくれてる…ハズです。(だからデッケンか)
そろそろ話は現在に戻ってくるでしょうか。
皆の幸せな顔を楽しみに待ちたいと思います。



◆30日21時の方。
いつもありがとうございます。
バラティエ、しばらく見ない内に随分大きくなったものですねぇ。やっぱりサンジ効果なんでしょうか? 手配書プレゼントとかやってましたからね。
あはは、手配書効果!
なんたって黒足のサンジの実家(笑)ですもんね。そりゃ一度は食べに行きますよv


伝説のことをホーディは知らないんでしょうか? あまりしらほしのことは気にしてない風でしたからね。単に、興味がないだけなのかもしれないですが。
デッケンは一族代々の野望として伝説を利用したいみたいですが、ホーディは自分の力を過信気味ですらあるので、それほどしらほしの力を どうこうは思ってなさそうですね。国家転覆に邪魔とは思うかもしれないけど(ま、小娘だからと相手にもしてないのかな)。


天竜人やデッケンへの厳しいお言葉、全くです。
どこにでも救いようがない輩がいるからやり切れません。
それがなまじ力や権力を持ってしまっているから、たくさんの悲劇が起こる。
力のないものが泣くしかないのだとしたら、それに対抗するのはやっぱり力…なんでしょうか。
正義なき力が無意味であるように、力なき正義も意味がないけれど、 でも愛の人オトヒメが登場し、たくさんのことを遺してくれたのには、すごく意味があるように思うのです。
なんたって、マンボとラシド〜…
あれは力ではなく、真の優しさから為されたことですものね。
それにしても今週は泣かされました〜…体内水分かなり減りましたよ(笑)。



2011/05/31




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